1.老人介護における移送サービスについて
ただいまより、日本共産党西宮市会議員団を代表して一般質問をおこないます。傍聴の皆さんご苦労様です。
介護保険制度についての行政のPR文句は、これまでの措置という受身のものから、より自主的な契約制度への改革であり、また施設等に入って介護されるよりも、住み慣れた自宅で自立して生活することを支援できる制度であるとしています。果たして介護保険がねらいどおりの効果を発揮しているかどうか。
これまでも指摘してきたとおり、契約だから自由にサービスを選べるといいながら個人負担や基盤整備の遅れで必要なサービスが受けられない、在宅サービスの需要は伸びず、むしろ施設サービスの希望がとてつもなく増大していることなど問題だらけといわなければなりません。
また、わが党上田議員が代表質問で明らかにしたように介護保険には財政上も重大な欠陥があります。3年間のサービス給付量=支出を見積もり、その財源として半分を40歳以上の皆さんからの保険料をあてる、残り半分を国と県と市が持つこういうしくみのなか、サービス量の積算が大きく狂ったとき、西宮では36億円あまっているわけですが、国、県、市には返すものの、被保険者には返さずに次の3年間のために積み立てておくといいます。
私たちはこの取りすぎた保険料分は本来返すべきだが、2003年から3年間の次期計画での保険料軽減や、あるいはもっと多様なサービスメニューを提供するなど、利用限度額の4割しか使われていない実態を改善すべきと考えます。
さて、現在の在宅介護サービスには自宅を訪問されて受ける介護と通所して受ける介護があります。ホームヘルプや訪問看護、訪問リハビリ、入浴介護などが訪問されてのサービスです。一方、デイサービスやデイケア、ショートステイなどは施設におとしよりが出向いてサービスを受けますが、この場合は施設が送迎をしてくれます。
しかし、人間が自立して生きていくとは、あたりまえに生活するとは、買い物や娯楽に出かけたり、病院へいく、あるいは友達の家、親戚の家を訪問したりと、自分の希望するところへ希望するときに出かけていくことではないでしょうか。
最初にも述べましたが、介護保険は介護保険法第1条で「要介護状態のものがその有する能力におうじ自立した日常生活を営むことが出来るよう、必要な保健医療サービスおよび福祉サービスに係る給付をおこなう」とその目的をうたっています。
98年度(平成10年度)介護保険実施前に市がおこなった高齢者等実態調査によれば、日常生活動作に関して、「自分でやるとかなり時間がかかるまたは介助が必要」なのは、「調理」「交通機関の利用」「掃除や洗濯」「買い物」という順位になっています。調理や掃除洗濯、ものによっては買い物も本人がしなくてもすみますが、交通機関の利用すなわち移動は本人になりかわって誰かがおこなうというわけにはいかないものです。また、99年に実施された市民アンケートでも保険外のサービスとして配食サービスと並んで、移送サービス、外出時の付き添いを求める声が多くなっています。普通の生活を営むための移動への介助や支援を介護保険サービスでおこなうのは保険の目的からいっても当然ではないでしょうか。
しかし移送サービスは国が決めた介護保険サービスメニューには含まれていないのです。
福岡が発端で香川県下で広がっている介護タクシーはタクシー会社が訪問介護の指定事業者となり、運転手はヘルパー資格もとって移送サービスを介護保険適用の在宅サービスとして展開しています。厚生労働省からいろいろと難癖とも思えるような指導がされて大変なようですが、利用者にとっては大変喜ばれている様子が、安宅温(あたかはる)さんの「走れ介護タクシー」というルポルタージュにくわしく記されています。自分が望む病院で治療やリハビリを受けるため家族や友人、ボランティアに送ってもらうという気後れをせずにすみ、しかもタクシーには介護がついている、こうした支援で介護度を軽減させている例もたくさん紹介されています。
また千葉県鎌ヶ谷市、長崎市、佐世保市などいくつかの自治体が国が決めたサービスメニュー以外の市町村特別給付、いわゆる横だしサービスとして移送サービスを実施しています。質問します。
- 要支援、要介護老人にとって移送サービスは必要なサービスだと思うが市の考えはどうか。
- わが党上田議員の代表質問への答弁の中で、3年間でとりすぎた保険料36億円のうち、1号被保険者の保険料6億6,000万円は基金に積み立て、次期事業の保険料を抑える財源などに活用するとの事でしたが、これを横だしサービスの財源とすることも可能だと思うがどうか。
- この財源を使って移送サービスを横だしサービスとして実施すべきですが、どうでしょうか。
- 現在、移送をおこなう一般福祉施策にはリフト付自動車派遣、福祉タクシーがあり、それ以外として社会福祉協議会ボランティアセンターがおこなっている移送サービスがあります。
いずれも障害者福祉の中で障害者の外出支援のために生まれてきたもので、
リフト付自動車については90年よりねたきり・重度痴呆性老人にも拡大されました。これらは対象者も利用回数にも限度があります。特に福祉タクシーは視覚、身体、内部障害手帳1種1級、障害区分によっては2級までの手帳保持者に限られています。
当面、現行の福祉タクシーを障害者手帳所持者に限定せず、手帳交付に準ずる介護認定を受けているお年よりにも拡大できないか、見解を求めます
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