4.阪神連続立体交差事業について
阪神連続立体交差事業は昨年3月に甲子園駅より西で上下線とも高架切り替えを終え、現在側道等の整備にかかっており新年度末、来年3月にやっと30年にわたる事業が完了します。
この事業は、兵庫県を事業主体とし、西宮市、阪神電鉄の3者で1973年(昭和48年)事業計画認可を受け始まりました。総延長4.3キロ、踏み切り除去19箇所、駅舎改築4箇所、側道は16本の付け替えで、その時計画した全体事業費は153億円です。それが5年ごとの計画変更で1回目285億、2回目439億、そして今回96年に計画変更認可を受けた2002年度末までの全体事業費は814億にまでふくらんでおります。今年夏に出す最終の計画変更でさらにこの総事業費は大きくなるものとの事、西宮市の負担は最終的に108億6400万円との見込みです。
1973年から2003年まで実に30年、153億円から96年時点の予定で814億円、5.3倍のまさに壮大、遠大な事業でした。いったいだれがこの事業にとりかかるときにここまで時間がかかり、お金がかかると想定したでしょうか。
市では引き続いて甲子園より東において連続立体交差事業に取り組み、6ヶ所の踏み切りの除去と新たな交差道路の整備で、交通渋滞の解消、鉄道による南北市街地の分断解消をはかるとして2002年度中にも都市計画決定しようとしています。今後の予定として当局が発表しているものは、2003年度より事業認可、事業実施、15年後の2018年事業完了、予定総事業費は概算で310億円、というものです。
さて、ここ2,3年の間に、甲子園以東連立事業のうち甲子園駅周辺の計画案が二転三転してきました。そもそも久寿川から甲子園駅までの0.8キロは84年3月、事業の最初に80億円かけて施行済みであります。ところが98年10月におこなわれた第1回地元説明会で県や市が提示した計画は、連立事業に関連して、甲子園駅下の浜甲子園線の桁下高が道路構造令の基準より60cm足りないものを改善する改修工事と駅周辺の整備工事を同時に実施するとしたものでした。甲子園浦風町住民からいったん終わったはずの高架事業でまた影響がでるのはおかしい、浜甲子園線の桁下空間不足は道路のほうを掘り下げればよい、駅だけの改良も可能ではなどの意見が続出し、わが党西村議員も98年12月議会でこの問題を取り上げています。さらにその後3回の説明会の後99年3月には浦風自治会の定期総会の総意として、「駅かさ上げに疑問が多いこと、阪神の態度も不明であり、再度の高架事業は納得できない。駅の改良工事は住民が立ち退かない工法でおこなうこと」などが要望書にまとめられ県知事に提出されています。
その後2000年2月の第2回説明会では駅部分のみ南側仮線方式に変更し、北側住民への影響を緩和するとの提案がされました。あくまで桁下4.7mは確保する、甲子園駅は改築するという計画でしたが、2001年12月の第3回説明会では、突如として「駅舎は改築しない」との計画に大幅変更されました。駅かさ上げと駅舎の改築は駅部分について北側仮線方式から南側仮線方式に変えてでも実施するとしていたものがあっさりとあきらめられたのです。
ここでまず2点質問します。
- 甲子園駅改築断念の理由と、道路構造令の基準を満たさないとしていた浜甲子園線の改良はどうするのか。
- 甲子園以西の立体交差事業を見ても甲子園以東の連立事業の施行期間と事業費が現在の計画どおりに進むものとはとても思えません。西の事業についてなぜこんなに時間とお金がかかったのか、甲子園以東の連立事業はどうなると当局は考えているか。お聞きします。
市の財政事情、見通しが厳しいものであることは代表質問への答弁の中で、市長の口から非常にリアルに述べられました。すなわち、「歳入は景気低迷等の影響により、当分の間、伸びが期待できない。歳出は、公債費は2004年度には307億円とピ−クを迎え、その後減少傾向になるものの、2008年まで多額の一般財源負担が続く。さらに2006,7年には退職者が大幅に増加。残された基金もほぼ底をつき、本市の財政はさらに厳しい運営を迫られる」こういったものでした。
一方人口増の傾向はしばらく続き、2010年ごろには46万人をこえ、15歳未満、65歳以上の世代が増加、保育所や学校教室、老人福祉施設などの増設など多子高齢化対策の必要性が語られました。これらは先送りできない、待ったなしの行政課題だとしたわが党の指摘は誰も否定できないでしょう。
そこで3つ目の質問。財政見通しが非常に厳しい上に、人口増による待ったなしの行政課題が山積する中、事業の優先順位を考えるなら、甲子園以東の阪神連続立体交差事業については、先送りすべきだと考えます。見解を求めます。
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