3.特定優良賃貸住宅(タイ・アップ住宅)空き家の公営住宅転用について
中間所得層を対象に、当時の建設省が推進した特定優良賃貸住宅、いわゆる西宮市ではタイ・アップ住宅といわれる住宅が、全国各地で空き家が増えつづけ大問題になっています。この制度は、民間の土地所有者をオーナーとして共同住宅建設時には税金をつぎ込み、入居者には一定の家賃減免制度を設け減免分は公費で補填、オーナーには契約賃料を全額保障するというシステムですが、全国的に長引く不況のもとで高額な家賃ということから定着しない、つまり空き家の増加につながっています。問題は、公社が赤字になれば制度上から空き家の家賃相当分を公社と地方自治体が税金でオーナーに保障しなければならないということです。管理する地方自治体等の負担が大きく膨らむ中で、国土交通省は、2002年度から実施するとして、3月29日付で「特定優良賃貸住宅供給促進事業等補助要領」の一部を改正し、各都道府県に通達を出しました。その主なものは (1)空き家となってから3ヶ月以上入居者がないものは、大臣の承認を受けて用途の変更のための廃止を行なうことができる。(2)用途の変更のための廃止後、特優賃住宅として管理する予定期間を公営住宅等として管理されるものであることなどとなっています。また、用途変更のための整備に対する補助も一定の基準で行なうことも記載されています。結局国は、「空き家を公営住宅に転用できる」としたのです。
ところで西宮市内の特優賃住宅の空き家状況はどうなっているでしょう。西宮市では、一棟借上げの西宮市都市整備公社管理分が12団地283戸、JA兵庫六甲など民間管理分が8団地201戸供給されていますが、11月1日現在で空き家率10.1%の49戸となっています。また、西宮市内のひょうご県民住宅では、県公社管理分が25団地955戸、民間管理分が28団地500戸で、空き家率は日本共産党県議団調査では、(2002年11月現在)19.1%の278戸にものぼっています。あわせると327戸も空き家があるという実態です。
一方、市営住宅や県営住宅に入りたくても空き家となる戸数が少なく倍率が高くなり、なかなか入れない状況があります。これは大変な矛盾ではないでしょうか。このような矛盾を解決する方策を確立すべきだと考えます。特優賃住宅建設時には一定の税金を投入し、空き家がでれば家賃負担だけは公社として負担しつづけるという不合理を解消し、公営住宅として多くの市民に活用してもらうべきだと思います。
- 特優賃住宅に定着せず、空き家が増える要因はどこにあると考えるか。今後の空き家率減少の見通しはどうか。
- これまで公社が負担してきた、空き家の家賃総額はいくらか。
- 伊丹市では、独自に空き家対策として「市民特別賃貸住宅・若年世帯家賃支援制度」を2001年11月より発足させています。35歳以下世帯に限り公営住宅並家賃(平均で5〜6万円)で入居できる制度ですが、空き家率減少につながっているとのことです。市としてはこの伊丹方式を検討したことはあるのか。
- 今回の国土交通省の通達に沿って、県公社とも連携し、あわせて327戸にものぼる市内の特優賃住宅空き家の公営住宅への転用を進め、有効活用を図るべきではないか。
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