1.大規模開発と市民生活について(人口急増による諸問題)
阪神・淡路大震災以降、減少した人口を回復させるためにそれまでの住環境を守るさまざまな規制を取り払い、マンション開発など促進してきた西宮市は、2002年11月現在で45万1556人と、予想を越える人口急増の状況、さらに2010年には46万2000人を超えると推計しています。いま、南甲子園の甲子園土地が、競輪事業の廃止に伴い長谷工の手で共同住宅614戸、戸建住宅244戸、計858戸の大規模開発、東町1丁目では多聞酒造工場跡地に210戸のマンション開発が進んでいます。今後さらに浜甲子園団地では、民間事業者の参入で5500戸規模に建て替えが進められたり、西宮北口の西宮スタジアムや阪神パーク跡地の開発はどうなるのか、武庫川団地の公団用地が民間へ売却されてどうなるのか等々、マスタープランでは予測できなかった開発ラッシュです。特徴は、不況が続く中で、南部地域の準工業地域の工場が次つぎ撤退・縮小し、その跡地に大規模住宅群の建設へとつながっていることで、この傾向はまだとどまる気配はありません。このように経済の先行きを見通せず、震災による人口減を回復するためと、戸数制限を撤廃するなど、安易に進めた規制緩和・開発促進が西宮のまちづくりを大きくそこなう結果を招いたといわざるを得ません。
この結果、「文教住宅都市」の特徴であった西宮の自然や住環境が壊され、学校施設でいえば、全国的には地方自治体独自で30人以下学級に取り組みはじめ、子供たちに豊かな教育環境を保障する時代に入っているのに、教室が足りず西宮の子供たちは心身共に窮屈な教育環境に置かれていること。また保育所の待機児童は11月1日現在で556人にものぼり、定員枠を大幅に広げてもなお、昨年同時期に比し50人も上回る深刻さ、まさに子育てに希望がもてない自治体になってしまったといわなければなりません。さらに高齢者の特別養護老人ホーム不足も重大で、市民生活のあらゆる場面で支障をきたす事態になっています。このまま開発ラッシュを傍観していていいのでしょうか。
- 大型開発が続き、現時点の45万人でも市民生活に支障がでていると思いますが、行政としてその認識はあるか。また、これ以上の人口増加は問題であり開発規制が必要だと思います。市としての考え方を明らかにして下さい。
- 「文教住宅都市」として西宮の環境を守る立場にたった開発規制の一つとして、東京都江東区などで実施している「開発協力金」制度を復活させ、開発事業者の責任で市民生活に必要な社会資本の整備を求めてはどうか。
- 保育所の待機児童は、長引く不況と女性の社会進出などがあいまって、保育所が満杯になるほど定員の弾力化を実施しても、それを上回って増えている。待機児童解消を本気で進める対策はどうなっているか。
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