HOMEへ
まつお正秀議員の意見表明
2008年03月10日

道路特定財源問題に関する二つの意見書案についての意見表明


 ただいま上程中の意見書案について、日本共産党市会議員団は、第10号「地方の道路整備の安定的財源確保を求める意見書」案について反対、第11号「道路特定財源の一般財源化と必要な道路整備の財源確保を求める意見書」案に賛成をいたします。
 以下理由を述べます。

 意見書案第10号では道路特定財源や暫定税率がなければ必要な道路整備財源を確保できないようになっております。しかし、もともと揮発油税なども一般財源として導入されながら、1954年から一時的に特定財源となったものが今日まで続いており、いわゆる暫定税率も1973年からの二年間という一時的税率が今も続いているものです。本来税金の性格は一般財源であり、道路整備をするか他の財源に使うかも地方の判断でなされるべきです。阪神大震災の被害を受けた自治体としても、万が一の災害が起きたときに道路建設しか使えず、市民のための必要な施策が後回しというのは不合理であり、地方分権にも逆行するものです。

 しかもこの間、政府が高速道路などの大型公共事業を優先して進めてきた公共工事のあり方の問題と共に、先ごろ発表された道路特定財源による今後10年間の「道路中期計画」では、高規格幹線道路(これは都市高速のような道路です)それから地域高規格道路(これは阪神高速などが含まれますが)このような高速道路で36パーセントを占め、さらに生活幹線道路ネットワークの形成や渋滞対策の名目で、その多くはさらなる別の高速道路やバイパスの整備、交差点の立体化など、ゼネコン型の道路整備を中心とした計画となっていることが大きな問題です。
福島県知事が談合で逮捕された事件の舞台の一つとなったあぶくま高原道路や、東京湾アクアライン道路などの例のように、国の旗振りの元に過剰な利用数予測を立てて道路建設をしながら大赤字となり、自治体が今でもその借金の一端を担わされて財政難に陥っているという問題も指摘されているところです。
また、救急病院に60分以内で行くための道路整備という目標もかかげられていますが、道路を造ったあとに今問題になっている病院の閉鎖や救急医療をやめるという事態になったときには、さらに新たな道路を建設することにもなりかねません。
そんな無駄をするより、救急医療や病院を存続・充実させることのほうがよほど大切です。
また、通学路の歩道整備やバリアフリーなどの項目もありますが、計画の中に占める割合はそれぞれわずか数パーセントであり、地方が最も必要とする分野への配分が根本的に少ないことが地方の道路財源を圧迫する要因となっています。

 3月に入ってから新聞社の世論調査も発表されていますが、毎日新聞3日付けでは「中期計画」に沿って道路整備を進めることには「賛成」19パーセント、「反対」75パーセントとなっています。朝日新聞4日付けでは、道路特定財源の一般財源化に「賛成」が59パーセント、反対が30パーセントと、ここでも大きく道路計画は見直して、一般財源化をすべきが多数を占めています。
さきほどの中期計画には東京アクアラインのような地域高規格道路の計画の中に、6海峡横断道路というのがあります。
アクアラインは東京湾のなかほどでしたが、今度はその入り口で1兆4千億円。さらに紀淡連絡道一兆円、これは淡路と和歌山を結ぶ道路です。
伊勢湾口、これも入り口ですが2兆円などと続きます。1メートル1億円以上もする道路ばかりです。
2月21日に国会の予算委員会でこの6海峡横断道路工事の調査費と調査団体についての質問がなされました。
冬柴国土交通大臣が調査費は77億円で、その調査団体については「特定できない」と答えました。
ところが同28日には、その団体名が財団法人「海洋架橋・橋梁調査会」であること、その理事長には旧建設省の元道路局長、OBです。理事には大成建設会長などの名前がつづき、しかも多くが随意契約だということを示されて、冬柴大臣はこれをしぶしぶ認め、3月7日にこの財団法人を解散することを発表したばかりです。このようないい加減さが特定財源見直しの世論を高める結果となっています。

 また、福岡県のおぼろ橋。これは民主党の管代表代行が視察に行って話題になりましたが、43億円もかけながら片方の道路は村で行き止まり。地元では古賀衆議院議員の名前を取って、まこと橋と呼ばれているそうです。
そして自民党がこのような受注企業から多額の政治献金をもらっていることも明らかになっています。
国民の血税である道路特定財源が、政治家とゼネコンと官僚とが一体となって大型公共工事を行い、その利益が政治家に還流するという仕組みはかねてより指摘をされてきました。
民主党も主張しているように一般財源化をして暫定税率をなくすことがこのような癒着を断ち切る道でもあります。

 さらに、道路特定財源がすでに道路だけでないところに使われているという問題です。
国土交通省所管の公益法人などで、慰安旅行に2080万円、100万円を超えるカラオケセットの購入、野球のグローブなどのレジャー用品購入等々が報道されましたが、これも氷山の一角であり、しかもこのような法人に国交省からの天下りが多数存在し、多くの事業が随意契約で受注されていることも指摘をされています。
その上に佐世保市では、道路建設に伴うアメリカ軍住宅建設に総額28億円、一戸当たり1億5000万円が、これも道路特定財源から支出されていることも明らかになっています。

 無駄な公共工事を続けて地方へのしわよせをして、すでに別の用途で無駄遣いにも使われている道路特定財源の仕組みを改め一般財源化をすること。
そして、暫定税率は廃止をしてガソリンや灯油などの価格を引き下げて暮らしを応援し、政府が地方に対し本当に必要な道路財源確保を保障することが求められているということを表明し、意見といたします。

日本共産党の提案した意見書はこちら