3.人口増の評価と開発抑制について
市長は6月19日、本市議会の開会挨拶のなかで、「本市の人口は、昨日18日に震災前を2万6000人上回る45万人となりました」と述べられ「多くの方々が西宮市に移り住んでこられましたのも、自然環境と交通の便に恵まれた文京住宅都市としての魅力によるものと」思っております。
人口の増加は、様々な行政需要をもたらしますが、都市の活性化、また本市の発展のため好ましいことでございます」と述べられています。このように人口増を積極的に評価されています。
私はこのような人口増を一面的に評価するだけで良いのか、疑問ありと言いたいと思います。西宮市の財政事情は市長も「震災復興事業に伴う起債の償還に加えて、長引く景気の低迷による、税収の落ちこみにより、本市の財政を危機的な状況でございます」と述べられているように大変な状況です。
45万人というのは、第3次総合計画のフレームではピーク時43万7000人と推計していましたから、これを大きく超えています。当然のことながら当局は人口推計の見なおしをされました。3月議会でのわが党上田議員の代表質問に答えて企画財政局長は、人口について「今あとしばらくの間は引き続き増加し、そのピークは平成22年ころに46万人強となるものと推測しております」と答弁されています。
しかし、「これ以上の適正な人口増加に歯止めをかけていくことが必要ではないか」との質問に対しては、「新たな人口推計の結果、今後大幅な人口増の可能性は少ないと予測されることから、当面は必要ないものと考えますが、今後社会経済情勢の変化や開発申請者等の動向を見ながら、慎重に検討してまいりたいと考えております」と答弁されています。
「大幅な人口急増の可能性は少ない」ということは、小幅な増加は予測されると言うことですから、人口はまだ増えるかもしれないが、開発促進の見なおしはやらないということです。
しかし、第3次総合計画の基本となっている人口予測を大幅に超過していることから、総合計画の見なおしが必要となっています。
そのために、どうしても震災復興事業についての、現時点での総括が必要ではないでしょうか。
区画整理、再開発に多額の財源をつき込んで財政危機を招き、市民には福祉、社会生活面で我慢を要求してきた問題での反省がひとつ。二つ目は人口誘導策に問題なしとはしないという認識に立っての総括です。
人口増がもたらした要因は幾つかあげられますが、そのひとつにマンションラッシュといえるような、大開発がありました。なぜこんなに多く、西宮めがけて建設申請が出てきたか、それはみなさんご承知のとおり、1995年8月1日付けでマンションの敷地面積規制を解除したためであります。たとえば2500平方メートルの敷地では50戸しか建築できなかったのが、70戸以上も建設するような計画が続々とでてきました。確かにこのようにして建設されたマンションは、当然のこととして比較的安価に販売されましたから、年収の低い若い世代が購入しやすくなりました。
その結果、西宮市は25歳から30歳代が社会増となり、また子ども人口が増えるという全国的傾向とは異なる積極面が生まれたのは事実です。
しかし当局も言われているように「保育所の待機児童の解消や、教室不足対策に取り組まざるを得ない」事態となっているのもまた事実です。
新しく西宮に入ってこられた若い世代には責任はないわけですから、これらの若い世代のニーズに対応できる十全の施策が用意されているかというと問題があります。
また、総合計画の施策の大綱で謳っている「活力と魅力ある産業の振興に」てらしても、「労働実態基本調査報告書」で明らかなように3年前から事業所が1割減少し、労働者も3万5000人も減少しており、人口は増えたが「にぎわいと活気あるまちづくり」の観点から見れば、問題ありといわざるをえません。
まだ、先ほど述べたマンションの誘導策によって数多くのマンションが建設されました。間違いなく従来と比べて落ちついた町並みが劣化しました。
マンション建設をめぐって地域住民との協議が難航し、摩擦が続発、開発事業にかかわる紛争調整に関する条例の基づく斡旋、調整申請も多数だされています。
最大の係争事項は、戸数制限をなくしたために敷地いっぱいに建物が建ち、機械式駐車場は面積計算外ですから、隣地のぎりぎりに設置されるなどで、戸数を減らして欲しい、階高を抑えて欲しいというものです。
その他、住宅地の真中に24時間営業のコンビニが出店してくる問題で、建物は小規模でも住民協議を要するという規定を設けて欲しい。マンション建設にあたって、従前建物取り壊しの際に発生する騒音振動についても、規制の対象にして欲しい、などの要望が多数だされています。
住民のみなさんは、行政に陳情してもだめだ、自分たちで何とかしなくては、との思いで地域計画策定の運動が急増しています。
目の前に建設されてしまったマンションを、今さらどうにかしてくれとは言えない。しかしもうこれ以上町並みを壊したくないという思いなのです。
1995年8月1日の改正は、いわば大震災後の復旧復興のための緊急非難的な措置であったわけです。復旧は終わった。それどころか人口が2万6000人も増加した今日、震災前の規制基準に戻すのは当然ではないかと思い、次に質問します。
- 市の人口は45万人を超え、2010年には46万2000人と予測しているが、第3次総合計画との関係をどのように捉えているのですか。
せっかく市内に転入されて来た子育て世代の要求に十分こたえることができるのですか。
また、事業所が1割減少し、労働者も減少しているが、総合計画の方針とは逆行しているのではないか。
- 予想を越えた人口増をきたしたのは、マンション建設の基準緩和策をとったのも一因だと考えるかどうか。
- 地区計画について、すでに策定された地区数について、震災前、震災後、また現在検討中の地区数はそれぞれいくつあるか。
また、地区計画を策定された地域、いま検討をすすめている地域が激増した要因の一つとして、マンションラッシュがあったと考えるが、そう言う理解をされていますか。
- 人口過剰を抑え、住環境保全の観点から、震災前の戸数制限を復活するべきではないか。
- 24時間営業の小規模のコンビニなどについても、開発事業における町づくり条例第19条の住民協議を求めるべきではないか。
また、条例第25条、事業主の工事中の騒音、振動対策については、従前の建物の解体などの工事も含めるべきではないか。
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