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定例議会

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2.食肉センターについて

 市立食肉センターは、牛、豚を屠殺し解体処理をする施設で、市が管理運営し、解体処理をする業者から使用料を徴収しその運営経費に充てています。2001年度決算見込みをみると、センターを運営する経費(歳出)は総額約6億3800万円、これに対する業者からの使用料は1億800万円。不足する約5億2000万円は市民の税金をつぎ込んでいます。経費に対する使用料の割合は約17%、税の投入率は83%と受益者負担の割合はきわめて低い実態となっています。
 食肉センターが西宮浜に移転新築された1988年以降、2002年度までの14年間に投入された税金は約53億3000万円。平均して年3億8000万円の税金がこの食肉センターに投入されたことになります。先にも述べたように2001年度は約5億2000万円の一般財源を入れていますから、これから先は毎年約5億円の一般財源、市民の税金を投入していかなければなりません。
 それでは、毎年5億円の税金を入れる食肉センターが市民のくらしに役立っているかという問題です。先般の厚生委員会では、私は「市立食肉センターで解体処理された肉のうち、市民はどれくらい消費しているか」と質問しまいた。当局の答弁は「業者の報告によると、市内に流通している牛肉は約2.5%。豚については分からない」というものでした。年5億円の税金をつぎ込みながら、そこで処理された肉を市民が消費するのは、ほんのわずか、微々たるものという実態が明らかになりました。
 次に、解体・処理する業者の数をみてみると、牛の解体業者が5社、豚は6社です。解体数、つまりシェアで言えば、牛の業者は5社の内N社が84%を占めています。豚で言えば6社のうち、T社が60%をのシェアを占めています。この数字から、特定業者のために市民の多額の血税をつぎ込んでいる実態が浮かび上がってきます。さらに問題なのは、業者の所在地です。豚の解体業者については、市内の業者は伊藤ハムという大企業だけで、他はすべて市外の業者となっています。これらの実態をどのように理解すればいいのでしょうか。
 地方自治法第2条第3項で、地方公共団体は「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること」と規定され、同条第13項では「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、市民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を上げるようにしなければならない」と明確に規定し、基本的には市民以外の住民・団体のために税金を使ってはならないことをうたっています。
 この食肉センターをめぐる不公平な税金の使い方については、これまで本会議、委員会で、ほとんどすべての会派の議員が取り上げ、当局に是正するよう指摘、要望してきました。これにたいし当局は「問題指摘は十分理解している。県下の施設設置自治体とも協議して運営改善に取り組みたい」「当局と業者で組織する『食肉センター運営改善委員会』でこの論議を徹底しておこないたい」と答弁してきました。ところが、先般の委員会における当局の説明では、運営改善委員会は2001年度だけで8回開いているものの、議会から指摘した根本問題については全く議題に上げず、施設改修工事の日程や防臭対策、節水、節電問題など枝葉の問題を論議しただけで、議会にたいする答弁、約束も果たしていないことが明らかになりました。
 西宮市は、いま財政赤字を理由に経常経費の削減、つまり、市民の福祉・教育の切り捨て、職員の労働条件の切り下げなどを強行してきまいた。また、あらゆる公共料金の値上げを強行しまいた。くらしを直撃するこのような施策の切り捨ても、市民に対しては「財政赤字を乗りきるために理解し、辛抱してほしい」と説明してきました。ところが、市民のくらしには全く貢献しない、一部の営利業者のための食肉センター運営については、手をつけていないという、異常な状況が現在も続いています。
 使用料の若干の見なおし程度では根本的な解決になりません。いまの財政状況からいっても食肉センターからの撤退、廃止を視野に入れた抜本的な方策を打ち出す必要があるのではないでしょうか。

  1. 特定の業者、また、市外の業者が解体処理数の6割から8割を占めている実態が明らかになっています。そのような食肉センターの運営に年間5億円もの税金をつぎ込むことをこのまま容認することはできません。税金の無駄遣いです。食肉センターを継続する根拠を明らかにしてください。
  2. 地方自治法第2条に明確に抵触すると思われますが、豚の解体業者は全て市外の業者です。また市内に工場のある伊藤ハムは市民ではなく大企業です。解体処理した肉を市民が消費するのはわずか2.5%、後の流通先は全く不明です。これでは、「市民の福祉の増進にも」「最小の経費で最大の効果」にもなりません。この自治法に反する問題をどのように受けとめていますか。
  3. 第2次行財政改善実施計画では、この食肉センターの管理・運営についてどのような論議をおこない、どのような方向、結論をだしていますか。
  4. 食肉センターの総経費に対する使用料の割合、つまり、受益者負担率といわれていますが、その割合は約17%です。同じ市の事業である公共水道の市民の負担率は37%、国保の保険料負担率は40%、火葬場の使用料負担率は41%。このように公共の福祉の事業の市民負担率が食肉センターの負担率を大きく上回っているのを、どのように受けとめていますか。
  5. 以上みてきたように、食肉センターは撤退・廃止以外解決の方法はないと思われますが、この問題に対する当局の基本的な考え方を明らかにしてください。
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