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定例議会

2002年6月定例議会

西村義男議員の一般質問

1.有事法制について
2.食肉センターについて
3.JR東海道線の甲子園〜天道町の地下道改修について
4.議員活動に必要な資料請求と条例に基づく公文書公開請求について


1.有事法制について

 まずはじめに、有事法制について山田市長に質問します。
 小泉内閣は、アメリカの戦争に国民を総動員する有事三法案、つまり「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法改正案」を、国会を延長させて、あくまでも成立させようとしています。
 わが党議員団は、去る19日、有事法制反対の意見書を本議会に提案しましたが、承知のように、政新会、蒼志会、公明党などの多数によって否決されました。世論に逆行するこの暴挙にたいし、私は、厳しく批判をするものです。
 小泉首相や政府閣僚は、「有事法制は、日本を外国の侵略から防衛するため」とし、「備えばれば憂いなし」などともっともらしいことを言っていますが、実態はそんなものではありません。
 意見書提案の中でも、有事法案の危険な内容を明らかにしましたが、改めて、憲法の根本にそむく、二つの重要な問題について指摘したいと思います。

 まず第1に、有事三法案が、海外での自衛隊の武力行使に、はじめて公然と道を開くものとなっていることです。法案は「わが国」に対する武力攻撃について、「発生した場合」「おそれのある場合」「予測される場合」の全体を、「武力攻撃事態」というひとつの概念で包括的に規定して、自衛隊が「武力の行使」ができるという構造になっています。
 防衛庁長官は国会答弁で、有事立法が発動されるケースのひとつとして、「周辺事態」をあげています。米軍が戦争をはじめた「周辺事態」で、首相が「攻撃が予測される」と判断されれば、ただちに有事立法を発動できる仕組みになていることは周知の事実です。
 「わが国」とはいったいどこをさすのでしょうか。これまでの政府の答弁によても、「わが国」とは、日本の領土だけでなく、公海上で米軍支援の活動をしている自衛隊の艦船などでも「わが国」になるとされています。これでいけば、いま「テロ対策特別措置法」でインド洋に派兵されている自衛艦隊も「わが国」。今ある「周辺事態法」が発動されれば、アジアや世界の海に派兵されるすべての自衛艦隊も「わが国」になり、この自衛艦船が相手から攻撃されれば「わが国」が攻撃を受けたとして、これに「武力行使」で対抗することになるのは言うまでもありません。
 このように、米軍の海外での戦争に、自衛隊が「武力の行使」をもって参戦できる仕組みをつくろうというのが、有事三法案のもっとも重大な問題です。

 第2の問題は、米軍の戦争への参戦のため、国民の人権や自由を踏みつけにして強制動員する戦時体制をつくる法案だと言うことです。
 この法案が成立すれば、すべての国民に戦争への協力が義務づけられます。医療、土木建設、輸送などに従事している民間人にたいしては、業務従事命令がだされます。自治体や指定公共機関などを動員するために、国が指示権をもち、指示に従わなければ直接実施権をもつ戦時体制がつくられることになります。命令違反者には懲役などの罰則が科せられます。
 このように政府は、「公共の福祉」を理由に、国民の人権と自由の制限を合理化しようとしていますが、米軍の戦争への協力が、どうして「公共の福祉」と言えるでしょうか。
 国民の深刻な権利侵害にたいし、国民各層、自治体、公共団体など、これまでにない広範な人々から批判の声があがっています。5月24日と6月16日に、陸・海・空・港湾関係労組と宗教者が呼びかけた大集会には、それぞれ4万人、6万人が結集、参加しました。全労連、連合系労組や青年・学生・中小業者、業界団体、宗教団体、学者・文化人など、立場を超えた共同が急速に広がっています。
 さる6月17日、西宮地労協が呼びかけた「有事法制反対西宮集会」には、超党派の県会、市会議員や労働組合、市民団体、個人が会場にあふれるほど参加し、「有事法制反対」の地域の声を国会に届けようと確認し合いました。
 NHKがおこなった6月の世論調査では、有事法案について、「今国会で成立すべき」はわずか8%にすぎず、「今国会にこだわらず十分審議すべきだ」は70%、「廃案にすべき」が17%で合わせると9割近くが今国会成立に反対という結果がでています。
 宗教年鑑によると、門徒550万人をもつ浄土真宗大谷派宗議会が有事法案の撤回を求める決議をおこなっています。決議はこう述べています。有事法案は「戦争放棄を明記する憲法に違反し、すべての軍事を優先させ、市民の人権を根こそぎ破壊し、国民を戦争にかりたてる」ものであり、「国を守るとしながら、実は国民総動員を企図するものにほかならず」「政府、国会議員が有事法案を撤回し、断念せられることを強く求める」という内容になっています。どこかの宗教団体・宗教政党が自民党と一体となって有事法制成立になりふりかまわず策動している姿とは、格段の違いがあると言わなければなりません。
 法案は、戦争を効果的に遂行することを最優先に国の仕組みまで変え、内閣総理大臣・首相に全権を集中する体制をつくる内容となっています。いざ有事のさいに、有事法制の発動を決定するのは首相であり、自治体の民間をどのように動員するかの「対処基本方針」を決定するのも首相です。「基本方針」は安全保障会議に諮られますが、その議長は首相であり、「基本方針」に基づき自治体や民間はこれらの決定と異なる判断をすることは認められておらず、意見を述べることさえ許されません。自治体や民間がこの政府の決定に従わない場合は、首相の「指示権」によって強制的に従わせ、それでも応じない場合は政府が代わって強制執行できる仕組みになっています。
 このように、今回の法案はいずれも憲法9条の戦争放棄の条項をはじめ、憲法の平和的、民主的諸原則と密接にかかわるものであり、かつ、それぞれ独立の性格をもっている国と自治体の関係をも、これを否定する重要な問題をふくんでいます。だからこそ、高知、長野、徳島の県知事が反対の態度を明確にし、その他多くの自治体の長が「反対」あるいは「慎重にするべき」の意見を発表しているのです。
 山田市長もご存知のように、近畿市長会は先般おこなわれた総会で「市民の生命、財産を守ることは自治体の責務であり、国におかれては、有事法案について、自治体への十分な説明責任を果たすとともに、国会において慎重かつ十分な審議をつくされるよう要望する」という要望書を採択しております。
 以上みてきたように、憲法第9条を蹂躙し、国民をアメリカの戦争のために強制動員する有事法案はきっぱりと廃案にするべきという態度を明確にしたいと思います。
 そこで山田市長にこの有事法制についての見解を伺います。

  1. この有事法制について、市長はどのように受けとめていますか。基本的な見解をお聞かせください。
  2. 先にも述べたように、この法案が通れば国と地方の関係は、それぞれ独立した関係から、主従の関係に根本的に変わってきます。これについてどのように考えていますか。
  3. どの世論調査をとってみても、国民の意思は「有事法案は廃案」「時間をかけて慎重に審議をするべき」が圧倒的です。この世論の動向をどのようにみていますか。
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