4.議員活動に必要な資料請求と条例に基づく公文書公開請求ついて
改めていうまでもありませんが、地方自治法に規定されているように、議会・議員の権限は大きく分けて4つあります。(1)議決権、(2)選挙権、(3)執行期間にたいする批判監督権、(4)自律権であります。とりわけ議会・議員としての重要な任務は、3つ目の執行機関に対する批判監督権、いわゆる議会・議員が行政に対するチェック機関としての機能をどのように果たしていくのかという問題であります。
議員が代表質問、一般質問をしたり、当局の提案した議案を審査する場合、欠かせないのが関係する資料の閲覧であり分析です。これまで当局に対し、一般的な資料の請求と同時に、当局が保管する公文書の写しを請求し、提供を受けることは当然のこととして行われてきました。
一方、一般市民にたいしては「行政への住民参加、行政手続きの公正な確保と透明性」という情報公開の基本にたち、「行政の情報は原則公開」という「公文書公開条例」を1987年に制定、昨年9月、同条例を全面改正して、名称も「情報公開条例」として現在に至っています。
同条例第5条で、「何人も、公文書の公開を請求できる」と規定し、プライバシーの侵害等限られたもの以外、市の公文書は全て公開の対処にすることをうたっています。
ところが、一昨年10月に例の都市復興局のコピー用紙問題をめぐって、「議員活動に必要な資料の請求か」、「条例に基づく公文書公開請求か」の論議がおこなわれてきました。その後、昨年5月8日、総務局長から各所属長宛に、「公文書公開請求と市議会各会派からの資料請求の取扱いについて」という通知文書が流されています。その通知文は次のように書かれています。
「議員からの資料請求については、できる限りこれに応ずるものとする」ことを前提にしていますが、その中の1項目に「公文書の原本の閲覧又は複写の請求については、条例に定めるところにより対応すること」とあります。この項目に私は大きな問題があると考えています。この内容からいくと、公文書の写しについては、会派や議員からの請求であっても、一般市民と同じように「条例に基づいて公文書の公開請求を求めるように」という通知になっているのです。
現に先般、わが党議員団が男女共同参画懇談会の議事録の写しを請求したところ、所属長は「条例に基づく公開請求をしてください」と資料としての提供を拒否したのです。同じく、介護保健事業計画策定委員会の議事録を請求したところ、保管している議事録を別に作り直して資料としてだしてきたのです。
何人にも公開できる公文書の写しを「議員活動としての資料としては提供できない、欲しければ条例に基づいて請求してください」と言うのが当局の態度です。議会活動に必要な資料を一般市民と同じように「手続きを踏んでください」では、議会活動は大きく制約されます。市民に公開する公文書を資料として提出できない根拠は全くありません。これは議員の特権でも何でもありません。先ほども明らかにしたように、議会・議員の権限に基づいて、当局の提案した議案の審査、代表・一般質問に必要な資料であり、当局がこれに応ずるのは当然だと思います。このことが、議員と一般市民との公文書の公開、資料の請求、提出の根本的な違いです。
このようなかたくなな当局の態度は「行政の保有する公文書は原則公開」と規定した「情報公開に関する法律」、これに基づく「情報公開条例」の精神にも反することではないでしょうか。
このことが、都市復興局のコピー用紙問題にあるなら、これは全く見当違いだと思います。この問題については、条例に基づく公文書公開請求を議員本人が了承し、自ら手続きをおこない、公文書閲覧の段階で「議員活動の資料として提供を受けるのは当然」と、一方的に変更して、その公文書を強引に持ちだし、それをコピーしたものであり、問題の性質が全く違うものであります。一言付け加えれば、この公文書の写しについても、議員活動に基づく資料として議員に提供するのは当然であります。議員側は情報公開条例による請求ではなく、あくまで議員活動の資料として請求し、提供を求めるべきだったと思います。
- 自治体法の規定から言っても、住民に公開できる公文書について、議員としての請求があれば、資料として提供するのは当然です。それを「正式に手続きを踏んでください」とすることは、議員活動の否定、あるいは議員活動を大きく制約することになります。見解を聞かせてください。
- 「公文書の原本の閲覧、複写については議員といえども公文書公開請求で」としていますが、「公文書の原本」とは一体何をさすでしょうか。その定義を明らかにしていただきたい。
- 情報公開条例に基づいた公文書請求は、これまでどれくらい件数がありますか。請求があって可否の決定がでるまで、平均どれくらいの日数がかかっていますか。
- 各種審議会や市の外郭団体(土地開発公社、都市整備公社等)の議事録の公開は、その審議会、団体の自主的な判断にまかせるとしていました。現在の情報公開条例の運用ではどのようになっていますか。また、議事録のまとめ方も審議会や外郭団体によって大きな違いがあります。全文に近い議事録もあれば、簡単なメモ程度の記録もあります。これらはただちに是正し、正確な記録として統一するべきと思いますがどうでしょうか。
|