3.市民ニーズの高い室内温水プールの整備について
今日の社会で人々がスポーツに親しむことは各人の自由な営みであると同時に、社会的に保障された基本的な権利だという認識が国際的な流れになってきています。この見地から自治体のスポーツ振興を住民の福祉、生活の向上にしっかり結びつけ、それを基礎に置いたスポーツ振興の方針や計画づくりに努めていくことが求められています。
今から約40年前、1961年にスポーツ振興法が制定され、その第3条では「国及び地方公共団体は広く国民が、あらゆる機会とあらゆる場所において、自主的にスポーツをすることができるような条件整備に努めなければならない」と定め、第12条では体育館、水泳プール、その他のスポーツ施設の整備に努めることを国と地方自治体に課しています。
この主旨を実現する為の必要条件は、これらスポーツ施設が身近にあること、誰もが公平に、低料金で使用できること、指導者などの専門職の指導を受けられること、利用者の要望を聞くこと、施設の保守管理がゆきとどき危険がないこと等などです。
このような公共スポーツ施設の条件を確保する為には、公的な責任で計画的に整備し、利用者本位の管理、運営に努力することが必要ではないでしょうか。
この観点にたって、私は市民ニーズが大変高く、スポーツ振興に大いに役立つ身近な施設として、室内温水プールの設置を強く求めたいと思います。
思いおこしますと、震災の年の12月に被害を受けた中央体育館に併設されていた室内温水プールが閉鎖されました。当時3000人の会員にも周知されず、意見も聞かず、市が一方的に閉鎖を決めたことに対し、「納得がいかない」と怒りの声も多く寄せられていました。
そのような市民の方々が中心となって、たった3ヶ月の間に「室内温水プールの再建を求める」署名が1万1000人分集められたことは承知の事実です。
1996年9月議会一般質問で我が党のみゆき顕子議員がこの問題を取り上げました。当時の左海教育次長の答弁は「このプールの廃止の時点でスポーツセンター理事会では廃止に当たっての一定条件が出され、市における総合的な体育施設整備の課題との調整も図りつつ、研究していくことが必要であること、又温水プールが市民スポーツの振興に大変重要な役割を果たしているという意見が出された」というものでした。
その後、教育委員会は1997年7月に全市的に「西宮市民のスポーツに関する意識調査」を実施しました。調査対象は16歳以上の市民3000人で回収率は40.8%でした。
その調査結果は何らかのスポーツをしている市民が41%、スポーツをする理由として健康づくりのためが72%と圧倒的多数をしめています。
スポーツをどこでやっているかについては民間施設利用が44%、公共施設利用はわずか22%となっています。特に注目する点は今後やりたいスポーツは何かに問いに、トップが水泳で30%、増やして欲しい施設は何かに対し、室内温水プールを増やして欲しいがトップで50%となっています。
この調査結果は市民のスポーツ志向と同時に西宮市のスポーツ行政の実態をよく反映していると思われます。
続いて、1998年3月西宮市として「スポーツ施設の整備に関する基本的な考え方」が出されました。
その内容は市民対象に行った調査結果を客観的に受け止めず、行政側に都合の良い解釈で、その考え方を市民に押し付ける内容となっています。
1つは1997年の調査では約60%の人がスポーツをしていない結果が出ています。又、スポーツをやっている人でも、月1回〜3回が全体の25%程度と回数も非常に少ない実態が現れています。これは公的なスポーツ施設が少ないということを反映していると思われます。
ところが「基本的な考え方」では多くの市民がスポーツに親しんでいると過大に評価しています。
2つ目は具体的な施設整備計画では陸上競技場、総合体育館など5つの主要課題の内4つは整備を行うとしています。ところが市民ニーズの一番高い温水プール整備についてはニーズの高さ、必要性を認めながら施設整備の公的責任を放棄し、民間施設に任せるかのような、あいまいな表現となっています。教育委員会の姿勢は6年前と全く変わっておらず、1万1000人の署名の声も、市民意識調査に協力した市民の声を全く聞こうとしない、市民無視の態度だといわなければなりません。
そこで質問致します。
- 地方自治体は公共スポーツ施設を整備する責務があります。その際、最も大事なことは市民の意見や要望を取り入れ、市民ニーズの高いものから具体化するのは当然だと思いますが、この点について教育委員会の考え方を聞かせてください。
- 1997年7月実施の「西宮市民のスポーツに関する意識調査」の結果を、1998年3月に出した「スポーツ施設の整備に関する基本的な考え方」の中に、どのように反映させたのか、具体的にお答えください。
- 市民ニーズの大変高い、室内温水プールを再建するのは当然だと思います。その方針を明確にして下さい。
(了)
|