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定例議会

2002年9月定例議会

杉山たかのり議員の一般質問

1.震災問題について
2.住宅市街地整備総合支援事業による浜甲子園団地の建て替え事業について
3.学校施設の改善について


1.震災問題について

1)被災者自立支援金制度と個人補償について

 地震から7年8ヶ月が過ぎましたが、率直に言って震災はまだまだ続いていると言わなければなりません。新たな困難も生まれてきています。
 日本共産党は、震災復興は、被災者の生活再建が基本であり、世界の実情から見ても、個人補償つまり、住宅や生活の再建に現金を支給し支援するということは当然の事であると主張してきました。
 震災当初、政府をはじめ、県知事も西宮市長も、現憲法下では個人補償はできないと拒否をしてきました。しかし、日本共産党は国会、県会、市会でも取り上げてきましたし、被災地での運動が大きく広がる中で、1998年5月、実に震災から3年4ヶ月後、国会で「被災者生活再建支援法」が成立しました。同法は阪神淡路大震災には適用されず、その付帯決議により復興基金事業として「被災者自立支援金制度」が実施されることになり、ようやく1998年11月、震災から3年10ヶ月後100万円程度の公的補償が実現したのです。その後、有珠山噴火災害、三宅島噴火災害、東海水害などで被災者生活再建支援法が適用されています。
 2000年の鳥取県西部地震では、阪神淡路大震災の教訓から片山鳥取県知事は地震後わずか11日目に、住宅再建に対して、被害程度や世帯収入の大きさに関係なく300万円の支給をすることを決めました。
 私は、この7年8ヶ月の災害における日本での社会的蓄積を、阪神淡路大震災にフィードバックし、被災者の生活再建を支援していくべきだと思います。
 このようの状況の中、9月6日、財団法人阪神・淡路大震災復興基金は被災者自立支援金制度の一部見直しを行うと理事会で決定しました。
 これは、大震災で被災した女性が、被災していない男性と結婚し、支援金の支給を「被災者が世帯主であること」という要件を欠くため脚下され、これを不当として支援金支給などを求めた訴訟で、7月3日大阪高裁が「世帯主要件は、合理的な理由のない差別を設けるもので公序良俗に反し無効」として復興基金の100万円の支払いを命じ、1審2審とも基金側が敗訴、兵庫県と復興基金が控訴審判決を受け入れたことによるものです。
 これまで、世帯主要件にはばまれて支援金の支給を受ける事が出来なかった被災者にとって喜ばしいことであり、厳しい、支給要件の扉をこじ開けたものです。
 しかし、100万円程度の支援だけでは生活再建は出来ないと言う事も、8年が来ようとしているこの被災地の現状が示しています。このこともふまえて、質問します。

  1. 市長は復興基金の理事でもありますが、今回、被災者自立支援金制度の一部を見直したことについてどう受け止めているか。内容についてもあわせてお答えいただきたいと思います。
  2. 自立支援金制度について、世帯主要件以外にも世帯全員の所得合計が346万円、510万円、600万円を境に世帯主の年齢で支給が受けられないという厳しい制限がある。これら所得や年齢の制限を廃し、さらに支給者が増えるように、要件を緩和すべきではないか
  3. 被災者生活再建支援法は附帯決議で、5年をめどに施行状況を見て検討し、必要な措置を講ずると記されています。本当に被災者の生活再建ができるように、少なくとも500万円程度の個人補償が必要ではないかと思います。見直しの時期に、国に個人補償を求めるべきだと思いますが、どうでしょうか。

2)災害援護資金貸付金について

 この災害援護資金は、「災害弔慰金の支給等に関する法律」等に基づき、災害救助法の適用による災害によって住居、家財道具等に損害を受けた世帯に対し、生活の立て直しに資するため、1世帯当たり350万円を限度として貸し付ける制度です。償還期間は10年、5年間の据え置き期間でその後、3%の利子がつきます。
 貸付件数は8934件、貸付総額は約203億5500万円、1件あたりの平均貸付額は約223万円です。すでに据え置き期間の5年間に償還をすませるなど3725件が返済されていますが、7月末現在未償還件数5209件、未償還総額は約87億7500万円とのことです。
 震災直後、この貸付金は生活維持あるいは再建のために大きな役割をはたしましたが、現在は返済がはじまり、逆に生活を圧迫するものとなっています。
 被災者とともに日本共産党も運動をする中で、西宮市当局の努力もあり、月額償還とともに、月額1000円からの小額返済が可能となったことは多くの方から喜ばれていますが、返済の困難な状況が解決されたわけではありません。
 阪神淡路大震災救援・復興兵庫県民会議が災害援護資金の返済状況の調査を発表しましたが、借受人の死亡は全体で2043人、西宮市では347人、自己破産者は1259人、西宮市では164人、行方不明者は739人、西宮市では110人となっています。その他、リストラや廃業など収入減により支払いが困難になるなど、さまざまな状況が生まれていることが明らかになりました。これに対して、制度として認められている、返済猶予は170人、返済免除は67人に過ぎず、西宮では返済猶予の措置が取られているのは、収入が生活保護費に限る14件のみとなっています。多くは小額などによる返済、あるいは滞納となっているのが現状です。借受人の場合、親、子供、兄弟などに支払いを求めていますし、生活保護世帯など支払い困難な保証人への支払いも求めています。
 特に支払猶予については、「災害、盗難、疾病、負傷その他やむを得ない理由により、災害援護資金の貸付けを受けた者が支払期日に償還金を支払うことが著しく困難になつたと認められるとき」には適用される事になっていますが、実際にはほとんど適用されていないのが実態です。これには、支払猶予のあと、年賦あるいは半年賦の支払いが求められるため、結局借受人は支払猶予を断念せざるを得ないからです。生活保護受給者においても、多くが同じ状況です。これは、当時の厚生省社会・援護局保護課が示したものと、兵庫県がまとめた共通取扱いの内容が違っているからです。
 日本共産党兵庫県委員会は、9月4日、厚生労働省と災害援護資金貸付金の返済問題について交渉してきました。わが党議員団の上田議員が参加してきましたが、厚生労働省は、「支払猶予は生活保護世帯とは限らない」「猶予後は少額償還でもよい」「保護費から返済せよと言うのはおかしい」という趣旨の答弁をし、その調査も約束しており、現在の取扱いに問題があることを示しています。

  1. 支払猶予や免除の適用について、国の指導では著しい生活困窮など経済的理由も含まれているが、実際にはそうなっておらず、収入が生活保護費のみの受給者しか適用されていない。なぜこのような違いがうまれているのか。
  2. 支払い免除について、借受人・連帯保証人の双方が死亡、行方不明、破産・免責の場合、償還免除を適用すべきである。市として柔軟な運用が出来るよう国に求めるべきだが、どうか。
  3. 貸付金の利子3%については、これまで、償還済みの借受人との公平性を理由に拒否をしているが、利子を返還するなど工夫はできる。3%利子補給をすべきである。
    お答えください。
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