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定例議会
2002年3月定例議会 上田さち子議員の代表質問
はじめに
1.マスタープランの見直しについて
2.財政問題について
3.PFIを問う
4.介護保険
5.国民健康保険の資格証交付について
6.30人学級の実現について
7.同和教育について
8.庁内暴力事件について

はじめに

 小泉内閣がはじめて編成した本格予算、2002年度国家予算が、今日にも国会で自民・公明・保守の与党3党により強行採決される情勢となっています。一般会計の規模は昨年より1.7%減となっておりますが、それでも史上4番目の81兆2300億円という大きさで、「改革断行予算」を強調しています。しかし、その内容を見てみると、戦後経験したことのない、新たな姿をとり始めた不況に苦しむ国民に、相変わらず「激痛」を押し付ける一方、大型公共事業のムダは温存、新たな大企業優遇さえ盛り込むものとなっており、従来の自民党型予算と変わらず、経済危機をいっそう悪化させ、国民の暮らしも日本経済も破局へ落とし込む予算です。
 いま、日本経済は景気悪化と物価下落が同時並行で、悪循環的に進行するという経済危機に陥っています。リストラによって勤労者の所得が減り、そのために民間の消費が冷え込んで、物やサービスが売れなくなる。企業は何とか売れ行きを伸ばそうと、値下げに踏み切り物価が下がる。そのために企業の売上げは落ち、そのもとで儲けをだそうと、さらにリストラをいっそう進め、それがまた民間の消費を縮小させる。こんなことが繰り返されています。このマイナス成長の原因は、デフレの歯止め役である・個人消費が落ち込んだことにあるということは、いまではだれもが認めるところではないでしょうか。小泉内閣は「デフレ対策」に取り組むとしていますが、倒産と失業を増やし、需要を冷やす「不良債権の最終処理の促進」という自殺的方策を筆頭にもってきているところに、この内閣が深刻な経済危機に対する対応能力をまったくもたない内閣だということを物語っています。いま、この内閣が最も熱中しているのが、国民を痛めつける医療大改悪を「改革」と称して強行することです。何が何でも来年の4月から、サラリーマンの3割自己負担を強行することがその中身であり、「手をゆるめない」といっている一番の中身がまさに国民を痛めつけることなのです。
 いま、国会は大混乱。「アフガン復興支援会議」でのNGO(非政府組織)排除と田中外相更迭劇。これに大きく関与した自民党の鈴木宗雄衆議院議員の、「北方四島」支援事業等をめぐる入札疑惑、外交私物化の実態など、税金が公共事業を通して政治家に還流していくことや、国益に直接影響する外交が特定の自民党議員による利権あさりのために牛耳られ、ねじ曲げられたという前代未聞の事態など、支持率急降下の小泉内閣の命取りにもなりかねない事態の進行です。政府・外務省に予算執行の資格があるのかどうかが根底から問われており、疑惑の徹底解明は国会の責任において、直ちに行われるべきです。
 昨年の代表質問では森首相退陣の流れの中で、KSD汚職や外務省機密費問題がありましたが、自民党をつぶすといって登場した小泉内閣のこの一年は、つぶすどころか、「もっとも強硬な抵抗勢力だった」ことが自民党内からでさえ暴露されはじめ、小泉内閣の正体が、いよいよ国民の前にくっきりと見えてきたのではないでしょうか。

 さて、このようななかで、西宮では予算議会が始まりました。総額では2756億4680万円、0.7%減となっていますが、その内容は一般会計の消費的経費では、人件費で退職手当の増はあるものの給料等全体では減少、国民年金事務の国への移管で物件費が大きく減少、不況を反映した生活保護費の増や児童扶養手当の県から市への事務移管などで増加している扶助費など、全体では、854億9000万円と、昨年より39億円のマイナスとなっています。投資的経費では、学校施設や保健衛生施設の増改築、福祉関係施設費などの増がありますが、西宮北口周辺の再開発や区画整理事業、阪神西宮南再開発事業の本格化に伴う事業費、街路事業費など、財政危機だといいながら一向に手をゆるめることなく推進しており、昨年を4億円上回る121億4300万円です。さらに新年度は、阪神連続立体交差事業甲子園以東に本格的に取り組む準備が着々と進められる予算となっていることは見逃せません。震災を期に推し進めた大型開発で、一気に膨らんだ借金の本格的償還がはじまって、新年度の公債費と債務負担行為額の合計は、実に428億円となり、経常収支比率106.0と、財政の一層の硬直化の原因となっていることは明らかです。一方、これらの歳出を支える歳入では、利子割交付金や地方交付税など43億6500万円減で160億4300万円、地方交付税の不足分を補うとして赤字地方債・臨時財政対策債が昨年12月補正に続き37億8300万円発行されています。これは本来、国が全額補償すべき地方交付税を、地方で肩代わりの借金をさせ、後年度で交付税算入するとしていますが、国の財政そのものが破綻してきている中で、理論上、基準財政需要額に算入措置はあっても、結局この借金は、市の一般財源から元利償還を余儀なくさせられるのは明白です。その他各基金の取崩しは、58億4000万円、不況の中個人市民税等が若干減少していますが固定資産税の伸びもあり、市税収入は815億円を見込んでおり、一般財源は1086億6300万円と昨年を18億3400万円上回る計上となっています。

 全体として、議会の論議や市民のみなさんの運動もあり、保育所の定員枠拡大や学童の土曜日午前からの開所、介護保険利用料一部負担金減免。わが党が一貫して要求してきた平和資料館の開設など、市民要望の実現はあるものの、第2次行財政改善計画と称して国民健康保険料の引き上げや保険料負担抑制分の国保会計への補助削減や、高齢者交通助成金の現金支給方式からプリペイドカード購入補助方式に変更、安井保育所の民営化推進などなど、市民や職員をターゲットにしたサービスの切り捨てを一層進めるものとなっていること。一方で、先に指摘したとおり、今日の財政危機をまねいた、大型開発優先政治の失敗に反省もなく、「金がない」といいながら、開発事業だけは非常に具体的に、数年先の市の財政を拘束してまでも強行する内容となっており、そのためには、もっと市民や職員を犠牲にしても何の痛みも感じないという、情け容赦ない非情な政治姿勢を表した予算案だといえます。
 山田市長の行政方針が27日述べられました。そのなかで、「わが国の経済社会に対する不信感と先行きに対する不透明感はさらに強まっている」とし、「わが国社会全体に閉塞感が充満している」と、まったく他人事、一般論でふれておられました。そこには、冒頭述べた通り、小泉不況で西宮の市民も大変な困難にさらされているという実態すらつかまず、従って、その困難を打開するためにこそ市長として働くという、地方自治体本来の任務すら投げ捨てる立場、ひたすら従来通りの開発優先という、古い体質のままの政治姿勢による予算しか編成されていないことを指摘しておきたいと思います。
以下、具体的に質問します。

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