3.PFIを問う
いま、政府・財界では地方自治体の財政危機下においても、大型公共事業を実施できるようにと「日本版PFI」という新たな手法を持ち出して進めてきています。PFIとは、プライベート=民間の、ファイナンス=資金、イニシャチブ=主導の頭文字をとったもので「民間主導の公共事業」などと訳されているものです。もともとイギリスで財政削減の行革路線にもとづき生まれたもので、これまで公共が行ってきた公共事業を、民間の資金を使って民間に行わせるという、公共事業の「民活」手法の総称です。
「民活」といえば、民営化、民間委託、第3セクターなどという形でこれまで推進されてきました。特にバブル経済の推進役となった第3セクター方式による事業は、日本全国にムダな大型開発を促進し、その多くが破綻、行政に膨大な不良資産と財政赤字をもたらしたことは周知の事実です。西宮市でも、規模は小さいけれど、いくつかの第3セクターは赤字経営。共同出資団体の民間企業は免責され、もっぱら赤字解消の財政支援には市の一般財源が当てられているのが現状です。PFIと第3セクターは違うという論議がありますが、「民活」の手法である以上、うまくいかなくなれば、公共にそのツケが回されるということだけは押さえておかなければならない重要なポイントです。この批判をかわすために、PFIでは事前に官民が担う役割分担を明確にした契約を締結するとしていますが、事業の設計から建設、運営までを民間事業者に任せることは、公共施設の安全性、耐久性、運営上の住民サービス水準などが民間事業者の営利的事業感覚にゆだねられることになり、事業経営における財政問題などは、破綻した第3セクターの二の舞となる問題点を払拭しているとは到底いえません。将来的にどれほどの財政負担を強いられるか想像もつかず、しかも国有・公有財産・行政財産まで無償提供、公的資金の無利子貸付、投資のための地方債発行の特例、土地収用法の発動、企業活動の邪魔になる規制の撤廃など、「民」が発案し、運営は「民」の経営感覚で行うなど危険がいっぱいだといわなければなりません。
そもそも日本型PFIが浮上してきた背景が、大手建設業界の団体である日本建設業団体連合会(日建連)が96年に「ビジョン」を発表し、これまでの第3セクター方式では、官民の役割分担が不明確であったため収益面で問題があったとし、今後は大幅な規制緩和で、より日本型の民活方式の仕組みを構築することを提案したの受け、当時の経済企画庁が99年に「民間が負担すべきリスクについては、一方的に民間のリスクが大きくならないよう」に「民間事業者の収益機会が確保される事業の枠組みを構築する」とまとめてスタートしたことをみても、住民の立場にたったものでないことははっきりしています。
この議会でも、PFIこそ救世主であり、西宮市の東部清掃処理センターをPFIで、との質問がされていますが、民間企業の儲けのためにこそ推進される民活・PFIについては、軽々な対応は止めるべきだと考えるがどうか。
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