HOMEへ
上田さち子の予算反対討論(1)
2010年03月24日

ただいま上程中の諸議案のうち、議案第444号 2010年度西宮市一般会計予算、議案第446号 2010年度西宮市食肉センター特別会計予算、議案第453号 2010年度西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算 以上3件につきまして、日本共産党西宮市会議員団は反対します。以下、討論を行います。

西宮市議会3月定例会が開会された2月23日以来、めまぐるしく情勢が展開してきました。昨年夏、政権交代を果たした鳩山民主党政権が半年を迎え、マスコミでの各種論評が発表されましたが、「国民への公約に背く裏切りの連続だった」「広い国民のなかから、期待はずれとの失望の声が大きく広がっている」と指摘するなかみです。特に、後期高齢者医療制度は廃止するどころか、問題を先送りし、新しい制度では65歳以上の高齢者の囲い込みを画策。小沢一郎民主党幹事長や北海道教職員組合の一党支持押し付けを伴う政治献金問題など「政治とカネ」をめぐる問題では、国民への説明責任がまったく果たせていないこと。沖縄の基地問題については、県外・国外へといいながら名護市長選挙結果も無視し、県内たらいまわしの押し付け路線。この春卒業の高校生や大学生の多くが、いまだに就職先が決まらないなど、深刻な雇用問題の解決策が打ち出せないまま、労働者派遣法改正については、抜け穴だらけで強行するなど、国民が変化を望んでいる肝心要の問題で、民主党政権は後退と裏切りを重ねていることが、この間、一層浮き彫りになってきたことは誰の目にも明らかです。この背景には財界の意向に気を使い、アメリカの言うことには唯々諾々と付き従う民主党政権の限界がはっきりと現れています。

3月20日神戸の勤労会館大ホールで、「非核『神戸方式』決議35周年記念のつどい」が開催され、日本共産党の不破哲三氏が記念講演を行いました。入港するすべての艦船に「非核証明書」の提出を義務付ける決議が1975年3月18日に神戸市議会で可決されて35年となり、それ以来一隻もアメリカの艦船の寄港はありません。裏を返せば、核を積載しているので神戸市が要求する「非核証明書」が提出できないため、寄るに寄れなかったというべきでしょう。非核神戸方式のすばらしさを実感するものです。
議場の皆さんもご存知の方も多いと思いますが、今から10年前の2000年、当時の日本共産党・不破哲三委員長は国会の党首討論の場で、当時アメリカではすでに情報公開されていた1960年の日米間の合意文書「討論記録」を高々と示し、核兵器の持込について「事前協議の対象としない」とした「核密約」があることを取り上げ追及しました。この件については、外務省が今月9日に公表した有識者委員会の「密約」調査結果で、1960年の日米による責任者の頭文字のサインがある「討論記録」を公式文書と認めながらも、「密約」であることを否定しました。すなわち「核密約」文書である「討論記録」を廃棄しないとしたのです。これまで50年間も国民をだまし続けてきたことに輪をかけて、今後もさらに欺き続けることを表明したことであり、断じて許せるものではありません。
日本は世界で唯一の被爆国として、核兵器をつくらず・持たず・持ち込ませずとする「非核三原則を堅持する立場」を明らかにし、これを国是とする国であります。私は代表質問でも「核のない世界」に向かって、いま大きな流れがつくられていることを紹介し、「非核平和都市宣言」を県下でいち早く行った西宮市としても、さらに積極的役割を発揮するよう求めたところであります。あらためて、いっさいの「核密約」を廃棄し、国是である「非核三原則」を、国土全体で現実のものにしてこそ、世界に被爆国の声が発信できることを、この場から強調しておきたいと思います。

このように、国政をめぐり大きな動きのある中で、西宮市議会ではさまざまな角度から市長提案の新年度予算について審査が深められました。私たち日本共産党市議団は予算の内容について (1)世界の平和や環境問題等の前進方向のなかでどう見るか (2)国の悪政から市民のくらしをしっかり守り、支える立場にたっているか (3)ムダな開発への姿勢はどうか などに着目し審査に参加してきました。

総額2757億9200万円に及ぶ予算案には、この間、市民の皆さんが声を上げ、日本共産党市議団も実現に向け力を尽くしてきたことが反映された予算も多く含まれています。子どもの医療費では、今年の7月より中学3年生まで入院無料化に続き通院も、一部所得制限はあるものの無料となること。学童保育所の開所時間が午後7時まで延長され、夏休みなど長期休暇中は午前8時30分から開所されること。保育所の新増設は今年4月開所で4ヵ所・225名分、新年度には4ヵ所で300名分、さらに賃貸物件を利用し分園等の整備をおこなうこと。浜甲子園他で特別養護老人ホーム200床の新設。戸建住宅の太陽光パネル設置に市の補助制度創設。JR甲子園口地下道の改修工事も本格着工。さらに、当初予算には盛り込まれていなかった「ヒブワクチン接種費用に市の助成」を緊急決定するなど、民生費を中心に、市民の運動が大きく実る中身となったことは評価するものです。

しかし一方で、国の弱肉強食で格差拡大を進めた「構造改革路線」への反省や改善はなく、相変わらず「行政経営改革」の名の元に、「安けりゃいい」と指定管理者制度を拡大し官製ワーキングプアを増加させる予算であること。また、日本共産党市議団が不要不急事業だと撤回を求めていた「阪神西宮駅北側駅前広場整備事業」が姿を消しましたが、質疑を通し、これは景気低迷のなか阪神電鉄側の事情によるものであって、撤回ではなく、市の主体性を発揮した不要な開発事業の中止としていない点が明らかになったこと。また、財政基金30億円を次年度に残すゆとりをもつ予算ですが、最悪の景気低迷のなか、不況で苦しむ市民や業者の立場に寄り添い、仕事起こしやこれまで削ってきた福祉予算の復活など、予算を動員して市民のくらしを支援する点では、積極姿勢が見られないこと等から、日本共産党西宮市会議員団は予算案に反対をします。


上田さち子の予算反対討論(1)
上田さち子の予算反対討論(2)
上田さち子の予算反対討論(3)