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上田さち子の予算反対討論(3)
2010年03月24日

第4に、「子育てするなら西宮」を全面実践することについてです。
新年度は子どもの医療費無料化やヒブワクチン接種費用助成等で、他市に先駆けた施策に取り組まれます。先ほどの保育所待機児解消に向けた、健康福祉局の積極的な取り組みは評価するものです。しかし、現下の経済状況からも、なお待機児が増え続けることは見過ごせない問題であります。西宮市としての最重要課題として、全庁挙げ、必要な財政を総動員してでも、保育所に入れない子どもの解消に、新年度は全力で取り組んでいただきたいと思います。また、公立幼稚園6園の統廃合については「再検討」されることになりましたが、公募市民も入った(仮称)幼児教育のあり方検討会での論議を尊重し、さらに広く市民の意見を聞く機会を設けるなどして、西宮における幼稚園教育のあり方を、時間をかけてねりあげて、文字通り「子育てするなら西宮」と、職員も市民も胸をはれる自治体になることを期待し、議会としてもそのために力を尽くす決意を申し上げておきたいと思います。

第5に、フレンテ西宮と西宮都市管理株式会社をめぐる問題についてです。
昨年来、コープこうべがフレンテ西宮の2階3階から撤退という事態を受け、西宮市は8億円で床購入。その後、資金繰りに支障をきたした西宮都市管理株式会社に、1億5000万円の短期貸付を専決処分で行いました。日本共産党市会議員団は、これまで毎年行われてきた西宮都市管理株式会社に対する短期貸付、現在は9億9000万円ですが、これには、当該の株主全体で責任を果たすことが重要であり、西宮市だけが負担を負うことに反対という立場をとってきましたが、今回の流れのなかで、西宮の玄関口を空洞化することを避け、市が施行した第一種市街地再開発事業で、協力してこられた地元関係権利者の皆さんが、窮地に追い込まれる事態は避けなければならないという立場で、床購入と先決による短期貸付については反対しませんでした。
西宮都市管理株式会社の今後のあり方については、フレンテ問題特別委員会において議論をしているところです。この問題を解決するにあたっては、やはり再開発事業とは自治体にとっていったい何だったのかを検証すべきだと考えます。経営検討委員会の最終報告書では「当事業が実施された時期はバブル経済の終焉期にあったとはいえ、将来的に甘い見通しが立てられた可能性はある」とし、「甘い将来見通しによって現在の経営状態があるとすれば、それに対しては事業推進に関わったそれぞれの立場が、相応の負担を覚悟しなければならないであろう」と指摘しているのは妥当なことと思います。JR西宮駅南地区だけでなく、震災復興の名の下に行われた阪急西宮北口駅北東地区の公団施行の再開発事業でも、大量につくった再開発ビルの床を西宮市が購入させられ、今その購入費用の償還に追われている実態があります。なかでも46億円で購入した駐車場は、料金収入を上回る多額の一般財源を投入しなければ借金の償還ができない実態があり、駐車場を市が購入しなかったために西宮都市管理株式会社が破綻に追い込まれ、その救済に市税が大量に投入されようとしていること、あとさきの違いだけで、税金による尻拭いという点では同じ事態です。バブルに踊らされ、ゼネコンさえ儲かればよいとした「再開発事業」が、いかに自治体を蝕むとんでもない事業だったのかという点を、いまここで、きちんと総括することなしに、新たな税金投入は市民の理解は得られないことをきびしく申し上げておきたいと思います。
今年の9月までには西宮都市管理株式会社の今後について、市の方針を出すと明言されました。後送りにできない問題として議会としてもしっかり取り組みたいと思います。

第6に、水道事業について申し上げます。
昨年12月に、平成22年度から24年度までの新財政計画が発表されました。この間は、水道料金の値上げは行わないこととしており、計画最終年度は14億8000万円の繰越利益剰余金となっています。順調な経営状況だといえます。西宮市の水道料金は平成10年4月に現行料金に改定されて以来12年間が経過しました。この間、市民が支払った水道料金は、毎月20立方メートルを使用する平均的な家庭として、総額・35万5680円です。同じ阪神水道企業団から受水している市と比べると、この12年間に神戸市民より2万1840円、芦屋市民より2万4600円、尼崎市民より6万2940円も多く支払っていることが分かりました。市域の広さ、高低差、浄水場や配水場の数等々で経常経費が変わってくることは理解するものの、この支払額の違いはどうして起こってくるのでしょうか。これまでさまざまに経営努力をしてこられたことは評価するものですが、経費の節減に一層努力され、ため込むのが目的ではない「利益剰余金」の今後の活用については、水道料金の引き下げなど、市民に還元するということも視野に入れて検討されるよう、強く要望しておきます。

第7は、食肉センター特別会計予算、及び後期高齢者医療事業特別会計予算についてです。
食肉センター特別会計予算では、完全民営化あるいは閉鎖という、検討委員会の提言を反故にし、指定管理者制度を強行し続けています。毎年多額の一般財源を投入し続けており、今後の市財政に大きな負担をもたらすものと言わなければなりません。市民にとって何の利益ももたらさない食肉センターについて、市の主体性を発揮し、提言に沿った解決策を図ることを強く求め、予算案には反対します。

次に、後期高齢者医療事業特別会計予算です。2008年4月に導入された後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者だけを別の医療制度に独立させ、死ぬまで保険料を徴収する「世界でも例のない異常な制度」。しかも、保険料滞納者には資格証明書が発行され、保険証は取り上げられることになっており、これも老人保健制度の際には資格証明書を発行しなかったことと比較しても冷酷なものであるといわざるを得ません。
 このような内容に国民的な批判が起こり、「後期高齢者医療制度の廃止」は国民の総意となり、新政権は「廃止」を公約しました。しかし、その廃止は4年後に先送りされています。 詳しくは、後ほどの日程で述べますが、日本共産党は、高齢者を差別する「後期高齢者医療制度」についてはただちに廃止すべきであるとの立場から、本特別会計に反対します。

以上が日本共産党西宮市会議員団の各予算に対する反対討論です。
いま、民主党政権が今後どう動くのか見えない情勢です。今年7月には、政権交代ではなく政治の中身が問われる参議院選挙があり、国政をめぐる激動が予想されます。しかし、深刻な不況のなかで、多くの市民のみなさんが苦しんでいることは明白であり、だからこそ、市民の福祉の増進に全力を尽くすという、地方自治体の本旨に立って西宮市政を運営され、市民が安心して暮らせる西宮市を築かれることを求めるものです。私たちもその立場で奮闘することを申し上げて討論を終わります。


上田さち子の予算反対討論(1)
上田さち子の予算反対討論(2)
上田さち子の予算反対討論(3)