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■教育委員会
今年6月におこった大阪教育大学付属池田小学校での児童殺傷事件は全国の子どもたちや父母また関係者らに強い衝撃を与えた。昨今何の罪もない幼い命を無惨に奪う痛ましい事件が相次いでいる。子どもも親も安心して学校園に通えるよう防犯設備の整備とともに心のケアの体制強化に取り組むのは当然である。また、今こそ西宮市教育委員会として「命を大切に」する教育を基本にすえ以下の点に取り組むよう求める。
日本は国連・子どもの権利委員会から「日本の子どもたちは、過度の競争教育の中でストレスにさらされ、発達障害に陥っている」と厳しい指摘を受けている。今年度から学習指導要領が改訂され、総量は減ったというものの根本的には、これまでの「つめこみ、選別、競争と管理」の教育は全く改善されていない。子どもたちの実態や成長に即した学習内容、学習量に改善するとともに、政府にも受験中心の新学習指導要領の見直しを求めること。
来年4月から完全学校週五日制となるが、これまで以上に授業時間が不足することが予想されるため「基礎学力がさらに低下」するのではないか、との不安な声も出ている。「基礎学力を身につける」という学校教育の本来の目的から大きく後退しないよう授業時間数の工夫や学力低下の著しい児童へのケアなど、教育委員会として現場の意見もよく聞き、教員加配も含めて必要な措置を講じること。
「子どもの権利条約」を中心にすえた教育行政、教育活動を行い、授業の中でも取り入れること。
子どもたちの「学力調査」や「健康調査」また「体力測定結果」や「心の状態」など、現在、各学校ごとに調査集計はされているが、調査基準等各学校まかせ、校医の考え方次第になっている調査もあり調査結果に大きなバラつきがある。調査基準を徹底するとともに、各学校まかせにするのではなく教育委員会としても細かく把握するとともに、調査結果の分析、その後のケアなど責任を持って指導すること。
「日の丸」「君が代」が国民多数の反対意見をふみにじって法制化されたが、憲法で保障されている「思想信条の自由」はもちろん、他人に思想信条を知られたくない、知らさないという「内心の自由」の観点からもその掲揚や演奏について強制されるべきではない。絶対に学校現場で強要しないよう指導すること。
大阪教育大学付属池田小学校事件をふまえて、県教育委員会の指導にもとづき西宮市でも全養・幼・小・中・高校に「県警ホットライン」(ブザーを押すだけで県警と直通で話せる通報装置)が設置された。しかし、多数の命を預かる学校園での防犯設備としてはこれだけでは不十分との意見も出されており、親も子もまた教職員も安心して学校園に通い、また安心して教育活動ができるようにするためにも、各学校に警備員の配置や校内電話の設置など、学校現場の意見もよく聞き、早急に整備すること。
新「地対財特法」は、1997年3月末で終了しており、全国的にも“同和問題終結宣言”をする自治体が相次ぐなど、同和問題は解消にむけ確実にすすんでいる。このような流れに逆行している行政による特別対応の「啓発・教育」と称する“同和教育”こそ、差別を温存させる大きな要因の一つになっている。
人権教育と名を変えただけの“同和教育”(同和参観、PTAによる同和学習なども含めて)は即刻中止すること。
教育委員会として同和問題の終結宣言をただちに行うこと。
小・中学校の学校教育について
来春から各学校で使用される教科書の採択作業が各自治体でなされ、今夏、採択作業が終了し、使用教科書が決まったところである。
一部の自民党議員らによる一連の歴史認識に対する不当な攻撃に加え、この間「採択作業に教師はいれるな」「組合員はいれるな」という攻撃が全国的に展開され、西宮市でも執拗な攻撃が繰り返された。我が党はこれらの不当な攻撃に対し、「採択作業はこれまで通り現場の教員を中心に」「侵略戦争美化の『つくる会教科書』は絶対に採択するな」との反撃を市民・団体のみなさんと徹底して行い、結果全国で『つくる会教科書』は公立小・中学校での採択は0、西宮市でも良識ある判断が下されたところである。今後も執拗に繰り返されるであろう、このような不当な攻撃に屈することなく、教育委員会としてこれまで通りの採択方式を守ること。また、授業の中で「平和教育」を重視して積極的に取り組むこと。
「いじめ」や「不登校」また低学年からの「学級崩壊」など、学校現場では“各学校の努力”だけでは解決できない深刻な状況が増している。また、文部科学省が「自治体独自で少人数学級を実施してもよい」という方針を打ち出したことにより、秋田県、山形県、広島県や福井県等、他にも全国各地で「30人、35人学級」実施に踏み切っている。「教師が一人一人の子どもたちに目が行き届く」環境に早急に改善することが必要であり、西宮市議会でも「30人学級を」という請願がこの間採択されるなど、多くの市民の願いにもなっている。今すぐ30人学級を実施すること。
深刻な社会問題となっている「児童虐待」に対しては、早期発見、機敏で正確な対応、保護者へのケアなど、学校での正確な判断による対応がもっとも重要である。
学校現場でも対応についてはきっちりマニュアル化し、徹底すること。
ゆきとどいた教育をするためには、教師の過重負担を解消しなければならない。年休や出張時の代替教員、プール指導時の補助員の確保、また事務職員の増員などを早期に実施すること。
保健室登校の子どもたちの増加や被虐待児の増加、また、心のケアを必要とする子どもたちなど、養護教諭による指導や援助など役割は益々重要になっている。児童数の激増もふまえて保健室の拡充と養護教諭の複数配置(臨時教員も含め)をただちに行うこと。
小学5年生で5泊6日の自然学校が、全校で一律に実施されているが、子ども一人一人の事情を無視したやり方に現場の教師、父母、からさまざまな問題点や不安な声が寄せられている。また中学2年では、「トライやる・ウィーク」が実施されているが、これも全校への画一的な方法が強制されており、学習時間数の減少や受け入れ先とのことなど、さまざま問題や不安な声が噴出している。現場、親、また子どもたち自身からの声もよく聞き、実情に応じて独自に各自が自主的に取り組めるようにすること。強制は一切やめること。
現在、学校配分予算が一律減額され、学校運営(教育内容)にも支障が生じている。各学校の実情をよく聞き、予算を適正に配分するとともに一律減額はやめること。
学校教材費等に限らず、学校教育上必要なものはすべて公費負担とし、父母負担の解消につとめること。
「日本体育・学校健康センター共済」制度は、「リストラ」により掛金の一部が保護者負担となった。“教育は無償”の原則に反する保護者負担をやめること。
クラブ活動の各種競技大会派遣経費(交通費補助)の基準を見直し、特に北部の学校については市内大会についても旅費を支給すること。
障害児教育の充実について
重度も含めて、現在地域の17小学校に33人、8中学校に9人の障害児が通学している。みんなが平等に充実した教育が受けられるようにする為にも、障害児学級の教員配置の増員、普通学級で障害児を受け入れている場合の教員加配や介助員の配置などを県に強く求めるとともに、県で実現するまでの間、市独自で実施すること。
市立西宮養護学校の残る校舎の建て替えは次期総合計画をまたず、速やかに実施すること。また、介助員の削減計画は中止し、増員させること。
新たな県立養護学校を阪神間に建設するよう、県に強く要求すること。
学校施設の整備について
子どもたちが生活の大半を過ごす学校教室に冷暖房設備がない。最近は毎年酷暑が続き、子どもたちや教師は授業に集中できない。早急に全校全室に冷暖房を設置すること。
通常の小中学校で肢体不自由児を受け入れることが多くなってきている。入学状況をいち早く把握し、入学時に間に合うようにエレベーターを設置すること。 また設置計画を見直し、全校に1日も早く設置できるようにすること。
トイレの問題は人権問題である。改修については順次計画的に取り組まれているが、ペースを早め一気に全校改修していくこと。
戦前に建設された老朽校舎(津門、用海、浜脇、夙川小学校)及び昭和30年代の木造校舎(船坂小学校)の改築については、第3次総合計画の後半期の計画とのことであるが、この間に老朽校舎で過ごさなければいけない子どもたちは大変過酷である。児童数が急増していることからも学校施設の改善・改築はただちにとりくむこと。
また、1960年代建設の開放廊下型鉄筋校舎の損傷が激しい。建て替えを急ぐこと。
廊下側の間仕切りがないオープン教室は隣室の音漏れなど構造上の問題がある。
現場からの要求があれば間仕切りをするなどして授業に集中できるようにただちに改善すること。また、今後の建て替え、新設では現場の声もよく聞き、安易にオープン教室型の校舎は建設しないこと。
学校給食について
日本共産党は以前から一貫して学校給食の充実のため、給食内容の改善や調理員の労働条件の改善など要求しつづけてきた。しかしながら、教育委員会は学校給食を「リストラ」の対象とし今年は学校給食検討委員会を設置、白熱した議論が続けられている。
西宮市の誇りである、温かく・安全で・おいしい・手作りの学校給食を効率性だけを根拠に安易に「外部委託」することは絶対に許されない。現行の直営・自校方式を守るとともに以下の項目にも取り組むこと。
教育委員会の調査では現在、西宮市の小・中学校で食物アレルギーなどの理由で給食の全部若しくは一部が食べられない児童生徒が約730人に上っている。命にかかわる場合もあり、保育所ではすでに実施されている「除去食」を早急に実施すること。また、そのための調理員を増員すること。
米飯給食は業者委託では安全ははかれない、早急に自校炊飯に切り替えること。
現在実施している統一献立・一括購入方式は、食材に問題があれば集団中毒を起こすなど危険性もある。学校ごとの献立と食材購入を実施すること。
引き続き、施設・設備の整備と検査の充実をはかること。
給食用食器については環境ホルモンの影響や食文化の点からも、ポリプロピレン製ではなく陶磁器製のものに切り替えること。
学校給食用の米、牛乳の補助制度の復活を国に求めること。
現在、学校での給食時間(児童の食事時間)が平均小学校では12時45分から13時、中学校では13時からと相手が子どもであることからも異常な状態になっている。給食時間を早める工夫を早急に行い、子どもたちの健康状態に合った正常な状態に改善すること。
学校図書館について
2003年度から司書教諭の配置が義務付けられるが、学校図書館専任の司書教諭とすること。配置基準の12学級に満たない場合でも市の予算で配置すること。それまでの間、父母やボランティアに頼らず常時開室できるよう、市の責任で臨時も含めて専任司書を配置すること。
各校の蔵書はまだまだ十分とはいえない。蔵書を充実させるための予算を十分取ること。
長引く不況もあって奨学金制度を利用する家庭が増えている。次の点で改善をはかること。
各奨学金制度について、所得制限の引き上げ、支給も申請月からではなく、年度当初からとすること。
申請手続きについては、子供たちへの影響も配慮し、父母、保護者と教育委員会が直接行なうこと。
幼稚園について
市立幼稚園全園での2年保育が1998年度から実施されているが、休級や休廃園などの条件がつけられている。このような条件はやめること。また、子どもたちを抽選によるふり分けのようなことは即刻中止し、入園希望者を全員入園させる事。
1997年3月、幼稚園教育振興基本構想が策定された。公、私立幼稚園教育のいっそうの充実をめざすとともに、市立幼稚園での3年保育を実施すること。
地域の市立幼稚園を根ざすためにも「子育て相談」の充実や保育時間終了後の園庭開放や保育所とも交流するなど保育のみならず、「地域の子育て」を基本に有効活用など、充実、工夫すること。
私立就園奨励助成について、公私間格差解消の点からも所得制限はやめること。
高等学校について
県教委は2000年2月に策定した「県立高等学校教育改革第一次実施計画」にもとづき、普通科を減らし、単位制や総合学科をつくる。また、小規模校は統廃合するなど、生徒や父母の願いに背く大改悪をすすめようとしている。
このような大改悪ではなく、優れた制度である総合選抜制は堅持するとともに、安易に統廃合や普通科の縮小はしないこと。
地元の要望が強い北部地域への普通科高校建設にとりくむこと。
学校教職員の労働条件の改善について
労働安全衛生法にもとづき、市として主体性をもって労働安全衛生委員会を設置すること。
休養室、男女別更衣室については早急に設置すること。
日本共産党は嘱託調理員制度の発足直後から嘱託調理員の一般職員化・正規調理員化を求めてきた。 正規調理員の採用にあたっては嘱託調理員から順次採用すること。それまでの間、嘱託調理員の労働条件を抜本的に改善すること。少なくとも賃金は正規調理員の4分の3を保障すること。
また、正規調理員の「諸手当」に準ずる「諸報酬」を支給すること。
学校用務員によっては勤務実態に多大な不均衡があり、保護者からもさまざまな評価、意見が出されているので教育委員会の責任で管理監督すること。また、学校規模による適正な人員配置を行なうこと。
公民館について
現在、公民館に社会教育主事は、全体で2名のみの配置である。全公民館に社会教育主事、またはそれに準ずる市職員を配置し、市民参加の公民館活動の充実、発展を図ること。
公民館の配置については、1986年1月に出された、社会教育委員会議の答申に基づき、小学校単位を目標にして、住民要求に基づき、必要な場所に建設すること。特に香枦園(夙川以西)地域、上ヶ原地域の中心部、広田地域、甲陽園地域に建設すること。
老朽化した公民館の建て替えについては、学文公民館、上甲子園公民館とも、早急に順次予算を計上し、工事を着工すること。
また、今津公民館も住民の強い要望があるが、具体化されていない。早急に具体化すること。
私立就園奨励助成について、公私間格差解消の点からも所得制限はやめること公民館使用団体である社会教育団体や登録グループの使用料を無料に戻すこと。。
若い世代が公民館を利用しやすくするために、保育室の設置が必要である。既存施設では、利用状況を充分に踏まえ、可能な所から設置すること。建て替え、新築の施設では保育室を必ず設置すること。
各公民館の全ての手洗い場、男性用小便器を自動水洗にすること。また、トイレにチャイルドシートも設置すること。各々の設置計画を早急に明らかにすること。
各公民館の各室の利用状況を充分に把握した上で、市民の利用希望に応えるために、レイアウトの変更改修を行なうこと。
図書館について
現在、中央図書館・2分館・5分室に加えて、今年5月にオープンした北口図書館では予想を上回る来館者数があり、図書館行政に対する市民のニーズの高さを実感するところである。しかしながら、不十分な点も多く残されており、“文教住宅都市”に恥じない図書館行政にするために、以下の点に早急に取り組むことを求める。
図書館で重要な役割を果たしている、正規司書職員が絶対的に不足している。すぐに増員すること。
地域図書館の役割は生涯学習の観点からも重要であり、高齢化社会のもとで、地域の身近な施設として、利便性を高める必要がある。そのために、全市的にもっときめ細かな配置が必要である。特に、空白地域となっている、津門、今津、甲陽園地域に設置すること。
中央図書館及び、2分館では、毎週金曜日7時まで開館しているが、あくまで「試行的」にすぎない。勤労者が利用できるよう、夜は8時まで、また祝日も開館すること。全体として開架図書が少ない、その冊数を増やすこと。北口図書館は駅前という立地を考慮し、開館時間の延長、開架図書を増やし、本のジャンルや種類など、市民の意見も充分に聞き、改善・充実すること。
図書館分室については週3回しか開室していない。地域図書館の役割を充分に果たすために、毎日開館、昼休憩時の貸し出しを行ない、市民の利便性を高めること。
社会体育施設について
市民のスポーツ要求は、年々高まっている。民間に依存することなく、市の責任で、地区体育館、温水プールなど、全市的なスポーツ施設の整備計画を年次的に示すこと。
中央運動公園内の中央体育館、陸上競技場、スポーツセンター、温水プールなどの施設整備計画を早期に打ち出すこと。特に、温水プールの現地再建を望む市民の声は強い。その声に応えること。
ゲートボールなど、高齢者のスポーツ活動が活発になっている。地区毎のゲートボール大会など有料のグランドを利用する機会も多い。高齢者団体の使用料減免を早急に実施すること。
青年が気軽に集え、遊べる場所が乏しい。ミニバスケットコート、スケートボード場、サッカー場など、無料で楽しめる施設を整備すること。
西宮市は「文教住宅都市」としながら、文化行政を文化振興財団に委託するなど責任を果たしていない。市の責任で文化政策をすすめること。また、市民の文化芸術活動を発展させるために、その援助を行なうこと。
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(c)日本共産党西宮市会議員団 2002-2006