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■健康福祉局
介護保険は、来年4月からの第二期事業計画に向けていま見直し作業がすすめられている。保険料はどうなるのか、保険料や利用料の減免を拡大してほしい、入所希望にそった施設は確保できるのか等々切実な声が寄せられている。誰もが安心して介護サービスが受けられるよう、つぎの施策をすすめること。
保険料について
本年6月の県にたいする中間報告では、要介護認定者数、介護サービスの量、総費用額から推計して、65歳以上の高齢者の保険料を平均月2973円(現行2943円)と、ほぼ現行保険料と同額になると算定している。ところが、8月の事業計画策定委員会ではこの保険料が更に増額になると説明している。総費用見込み額をできるだけ正確に算定し、保険料はできるだけ押さえること。
基金積立額は、2002年度末で約8億5000万円となっている。基金は基本的に保険料の残額を積み立てているものであり、法の趣旨主旨から言っても次期事業計画では全額取り崩し、保険料の抑制に活用するべきである。当局の説明では、8億5000万円で約300円/月の引き下げになるとしているので、県に報告した保険料からすると2,643円と計算できる。基金積立は全額取り崩し、保険料抑制に使うこと。
次期事業計画では、保険料が余った場合、国、県補助金や一般会計繰入金と同様、年度毎に被保険者に返還し、保険料の引き下げを行うこと。
保険料減免について
我が党が一貫して要望してきた低所得者にたいする保険料減免が、昨年10月より第2段階の一部まで拡大された。事業計画見直しにあたっては、減免対象を当面、 住民税非課税の高齢者(第3段階)まで拡大すること。
保険料減免の財源は、当初は一般財源から充当していた。国の指導があると言うことでいまは保険料から充当しているが、これまでどおうり、一般財源から充当すること。
64歳以下の2号被保険者で、低所得者についても保険料の減免制度をつくるよう関係機関に働きかけを行うこと。国が実施するまでは市独自の減免制度をつくること。
利用料の減免について
保険の制度として、第1段階の一部の低所得者で制度発足以前にホームヘルプサービスを受けていたものに限り、10%負担を3%負担に減免している。ところが国は、この3%負担を来年度から6%負担に改悪するとしている。国にたいし、現行3%を維持するよう申し入れるとともに、国が実施しない場合は市として現行被保険者3%負担を維持すること。又、市の独自減免として、制度発足以降の新規ホームヘルプサービスを受けているごく一部の低所得者に3%負担を減免をしてるが、これも継続すること。
市独自の減免制度を、新規のホームヘルプサービスだけでなく、訪問看護、デイサービス、ショートステイ等他の居宅サービスにも拡大して適用し、合わせて、減免対象者を第2段階の高齢者まで引き上げること。
要介護認定にあたっては、住宅や家族状況など、該当高齢者の生活実態を反映した調査を行ない、審査会ではその内容を尊重したうえで判定を行なうこと。
要介護認定にたいする不服や介護サービスの在り方、苦情等を公平、公正、客観的に評価するためにも、公募によるオンブスパーソン制度をつくること。
特別養護老人ホーム等施設入所の待機者は400名を超えている。施設の数が圧倒的に不足していることは明らかである。また、施設の設置場所が北部に片寄っていることにたいしても不満の声が出ている。南部市街地に特別養護老人ホームなど入所施設を増設すること。
特別養護老人ホーム等施設入所決定の在り方について、このほど厚生労働省から「必要性の高いと思われる申し込み者を優先的に入所させるように」と通達がきている。これまでの矛盾を一定改善するものと受け止めている。しかし、そのことによって入所決定権をもつ施設側の選定に不透明なことが起こってはならない。事業主体の市が入所選定に積極的に関わり、指導性を発揮し、入所決定の公平性をはかること。
ケアハウス拡充のためにも、市立軽費老人ホーム「雅楽荘」の建て替えを具体化すること。
介護認定を受けた方に対して、所得税法上の特別障害者控除・障害者控除が受けられるように、市として「認定書」を交付すること。
障害者(児)福祉「支援費制度」について
来年4月から「支援費制度」が発足する。障害者対策は、これまでの措置から原則として、障害者と事業者の契約にもとづくサービスの提供となり、かかった費用のうち本人の負担額以外を国や自治体が支援すると言うものである。「行政の公的責任が後退するのではないか」「費用負担はどうなるのか」「基盤整備が計画どおうりすすんでいくのか」等々関係者や市民から批判と心配の声があがっている。これらを解決するためにも次の項目に取り組むこと。
「支援費制度」に移行して、サービス水準が現行より低下することがあってはならない。これまでの施策水準と自己負担額で引き続きサービスが受けられるよう万全の措置をとること。
市として積極的な情報提供、相談窓口の体制の充実、ケアマネージャーを配置等を行い、障害者にとってどのようなサービスが必要なのかという、ケアプランの作成など体制の確立をはかること。
自分で契約が困難な障害者への支援策としての、「成年後見制度」や「福祉サービス利用補助事業」にたいし、市としての積極的な支援、援助を行うこと。
市がこの制度の「指定事業者」になり、現在市が設置主体となっている名神あけぼの園、いずみ園、芦原デイサービセンター、武庫川すずかけ作業所等を市として運営し、公的責任を果たすこと。
施設サービス、居宅サービスとも整備期間が大きく遅れている。「西宮障害者福祉推進計画」(第二次あんしんプラン)の見直しをおこない、サービス供給体制を抜本的に改めること。
憲法第25条は、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定している。生活に困窮する市民にたいし、この規定にもとづき公正で公平な生活保護事務を執行すること。
生活保護の申請にきても、面接の段階でふるいにかけ、申請手続きさえ受け付けない事例がまかりとおうっている。また、申請があっても預貯金や生命保険の調査など、市民のプライバシーを侵害する行き過ぎた行為が行われている。憲法の規定に沿って生活保護の事務を行うこと。
長引く不況が深刻化し、容赦ない企業のリストラで失業者が相次いでいる。働きたくとも働けない労働者や事業を廃業した生活困窮者にも生活保護を適用すること。
また、ホームレスにたいしても生活保護を適用できるよう対応すること。
援護資金の貸し付けは増加の一途である。貸し付け限度額を社会状況の変化に即し増額し、無保証人とすること。また、民生委員の証明は求めないこと。
はり・きゅう・マッサージ施術費補助事業については、制度について周知徹底し、補助券を年間5枚から8枚に増やすこと。
高齢者にたいする、敬老祝い金、交通助成金は、もとどおり70歳以上1万円と5000円にもどすこと。とくに、高齢者交通助成金は市が支給する「割引購入証」1000円券(限度枚数5枚5000円)で、2000円の私鉄プリペイドカードを購入しなければ使用できない、事実上の半額補助制度である。即刻改めること。
独居老人や虚弱老人にたいし、配食サービス、給食サービスを市と社協が実施している。一方、市民団体のなかにもボランティアで独居老人等を対象に給食サービスを実施している事例もある。このような団体に市として助成等支援を行うこと。
福祉タクシー制度について
福祉タクシーは、新年度からの「支援費制度」に移行せず、独自施策として執行されることとなる。現行は、行き先を限定し、かつ、予約制による利用方法と、初乗りだけ助成する利用方法がとられている。年48枚の利用券を増やし、助成額の増額、予約受付時間の延長、行き先の拡大など制度の改善をはかること。
同制度は、障害者施策として施行されているが、現在登録者の約6割が65歳以上の高齢者である。しかし、その利用は身体障害者手帳1、2級保持者に限定されている。
市が適用を受けている国県補助事業の「介護予防、生活支援事業」では、対象者を「概ね65歳以上の高齢者であって、一般の公共交通機関を利用することが困難なもの」としており、身体障害者手帳所持を条件としていない。高齢者の場合、身体障害者手帳所持という現行条件を緩和し、対象枠を広げること。
北部地域は医療機関の整備が遅れている。市施行の上山口・丸山地区、東久保地区区画整理事業の完成、さらに民間の宅地開発、マンション建設が続いており、人口増が進んでいる。名塩・生瀬地区に公的総合病院の建設を具体化すること。
保健所について
「全域1カ所と複数の保健福祉センター体制」を方針としているが、本市のような地理的条件では、このような体制には無理がある。保健所そのものを、北部に1カ所、南部に1カ所増設し、あわせて保健福祉センターの増設をすすめること。
雪印食品や日本ハム等による、BSE対策を悪用した輸入牛肉偽装事件、残留農薬基準の何倍も汚染された輸入生鮮野菜など食の安全にたいする消費者の不信感、怒りは頂点に達している。政府にたいし、食品衛生法を直ちに改正し、食品添加物の規制、残留農薬基準の強化、輸入食品の水際検査の復活、食品問題の消費者への情報公開等々早急に実施するよう申し入れを行うこと。
幼児、児童虐待が社会問題化している。関係機関とも連携し、早期発見、保護、防止などに取り組むこと。また、市の所管を明確化するとともに、緊急保護センターを設置すること。
保育所について、少子高齢化社会と言われているが、西宮市はこのところ人口が急激に増え、現在約45万人となり、子どもの数も急増している。保育所待機児童は9月現在414人となっており、その対策が急がれている。
保育所設置場所が片寄っている。待機児が多い地域、保育所の少ない地域に保育所を新設すること。
公立保育所を民間に移管する公設民営化が、甲東保育所に続いて安井保育所で来年4月から実施される。いま、その保育所を運営する法人の選定が行われているが、その選定については公正民主的に行うこと。とくに最近、保育士など労働者の労働条件を無視する法人が保育所運営に関わっていると言われている。労働基準法など諸法規を守る法人を優先して選定すること。
公立の保育所をこれ以上民営化しないこと。
深刻な不況が長期化する中、父母の負担能力をはるかに超える保育料となっている。生活実態に見合った額に引き下げること。
延長保育は、現在16カ所(公立7、私立9)で午後7時まで(公立5園は午後6時30分まで)実施しているが、条件のあるところから時間を更に延長し、公私立すべての保育所で延長保育を実施すること。また、それに見合った正規保育士を配置すること。
障害児保育についてはすべての保育所で実施すること。
保育所の施設の維持改修について基本計画を明らかにし、必要なところから年次的に具体化すること。また冷房が設置されていない保育室についてはただちに設置すること。
市立中央病院の院内保育所を一般保育所として、民間に移管させているが、この保育所で病児・病後児保育を実施すること。
民間保育所の保育内容や、保育士の労働条件など、保育実態を市が掌握し、適切な指導を行うこと。
保育所給食について
3歳以上児を対象に、給食の自園調理は週4回まで拡大し、それ以外の実施しない日も副食のうち大部分のものは保育所で加熱調理などをしており、外部委託の必要性はなくなっている。給食の業者委託はやめて、全ての児童を対象に自園調理を実施すること。
アレルギー源を取り除く除去食をつくるなど、子どもの立場にたった給食を取り組み保護者から評価されている。調理員も意欲的に取り組んでいるが、過重労働になっている問題もある。給食内容をいっそう充実するよう調理員の増員をはかること。また、民間保育所にたいしてもこのことを徹底し、そのことに必要な援助をおこなうこと。
家庭保育所について
家庭保育所は現在13カ所となっているが、保育所待機児童解消のためにも家庭保育所そのものの増設と、条件のあるところでは施設(人員)の増加をはかること。
保育士の労働条件を改善するためにも、助成額を増額し、せめて当面嘱託職員なみの基準に引き上げること。
自宅の一部を保育所に充当し、主として本人が保育にあたっている「一施設」と、借家等で運営し複数の常勤、臨時保育士が保育している「複数施設」とあるが、同一の運営・補助要綱で行なっているところに矛盾がある。早急に見直すこと。
一部の家庭保育所で実施している給食や延長保育は、すべて保育士の努力と、経費の保護者負担によっている。保育料に給食費や延長保育料が含まれているのが当たり前の公立と同様の取り扱いに改善すること。また、保育料の第2子減免等も改善すること。
一時保育は現在2カ所で取り組まれている。また、幼児一時預かり所は4カ所となっている。一時保育と幼児預かり所を増やすとともに、公立保育所で一時保育を実施すること。
保育士の同和研修について、「子どもたちの背景にある同和問題に関してはまだまだ解決に至っていない。今後も引き続き研修を実施する」としているが、部落問題を正しく認識していないし、時代に逆行している。「乳幼児の人権を大事にする」としているが、人権、即同和ではない。人権問題は、障害者、高齢者、女性等総体的に考えるべきである。保育士の同和研修は直ちに中止をすること。
学童保育(児童育成センター)については、これまで父母の要求に沿って改善がはかられてきた。とくに、要求の強かった学校週5日制にともなう土曜日朝からの開所は、2002年4月から実施しており一定の評価ができる。更に学童保育の改善、充実を行うこと。
これ以上の父母負担を増やさないため、育成料は値上げしないこと。
ただ一カ所未設置となっている船坂小に学童保育所を設置すること。
入所待機児童の多い深津、甲陽園等で定数の増をおこない、それに見合った施設の改築を行うとともに、津門小のように現在多人数のため空き教室を第二保育室に使ったり、東山台小のように保育室そのものが空き教室である施設については、専用の施設としての新改築をすること。また、5〜60人を一集団として保育することについては関係者からさまざまな問題点が指摘されている。複数クラスの研究検討もおこなうこと。
既設施設の中の、老朽、狭隘施設の増改築を行うこと。その際、保育室が二階にある春風小、小松小、鳴尾北小等は一階に配置するよう改築、改修を行うこと。
「障害のある4年生以上の児童の受け入れは困難」としているが、制度の主旨からいっても小学校高学年の障害児の受け入れを行うべきである。指導員の補充もふくめて受け入れ体制を整えること。
既設の施設については、歩行障害などの児童も受け入れられるよう、スロープ、身障トイレ等を設置するなど施設の改善を行うこと。
自主的に高学年学童保育所を実施している父母会団体にたいし、補助制度をつくること。
西宮市社会福祉センターかぶとやま荘は高齢者、障害者(児)、母子家庭の人たちが無料で利用できる「日帰り保養施設」であるが、さらに使いやすくするため以下のことに取り組むこと。
利用申請手続きが、記入項目が大変多く煩雑である。手続きを簡素化し、2回目以降の利用については利用券を発行するなど改善すること。
開設から22年が経過し老朽化しているので施設全体を見直すこと。なかでも利用者の楽しみである温泉施設の面積を広げゆったり入浴できるよう改善すること。
総合福祉センターで実施しているリハビリセンター、身体障害者デイサービス事業については、「支援費制度」発足と同時に見直しをするとしている。サービスを利用しているものの中から、「制度が後退するのではないか」「利用しているものが締め出されるのではないか」と言った声が出ている。見直しに当たっては次の事項に留意して慎重に行うこと。
今までどおり、リハビリセンター、身体障害者デイサービス事業、自主リハビリ・創作活動を市の責任で実施すること。その際、各事業を別々の施設で行うのではなく、これまでどおり各事業・利用者が連動し、一体的に実施できるようにすること。
利用料金も、これまでの利用額と変更がないよう配慮すること。
身体障害者デイサービス事業で、65歳以上の要介護認定者は「介護保険によるデイサービスセンターを利用することが優先」としているが、機械的に振り分けるのではなく、利用者の自主性を尊重して、希望者は現デイサービスセンターでサービスが受けられるようにすること。
リハビリセンターに残る者も、「1年以内の期間」と制限を設けているようだが、更新をして継続的に利用できるようにすること。
18歳から64歳までの身障デイサービスを利用する者も、「身障手帳、受給者証所持が条件」などの機械的な押し付けをしないこと。
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(c)日本共産党西宮市会議員団 2002-2006