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■教育委員会
いじめや不登校、学力問題、さらに「ひきこもり」や児童虐待の増加など、子どもと教育をめぐる状況は深刻さを増している。ところが、政府は本来やるべき「諸条件の整備確立」にはまともな責任をはたさないまま、学習指導要領や「日の丸」「君が代」の強制など、やるべきでない教育への「不当な支配」をしてきました。しかも、今日の教育が荒れている問題を教育基本法に求め、その全面「改定」の作業さえ始めている。
いま大切なことは、教育基本法を改悪するのではなく、その精神を教育の立て直しにいかすことである。「人格の形成」(一条)を教育の目的にすえ、子どもたちを苦しめている「管理と競争」の教育を改め、「教育の機会均等」(三条)や「諸条件の整備確立」(十条)の立場から、教育委員会として以下のことを取り組むこと。
一人ひとりの子どもに行き届いた教育をするために、少人数学級を実施することは市民の強い要求であり、市議会でも請願が採択されている。2001年度から都道府県の判断と財政負担によって自治体独自に少人数学級を編成することが可能となり、21道県で少人数学級がはじまっている。西宮市でも早急に30人学級を実施すること。また、実施にあたって教室数の不足が問題になることが予想される。ただちに適正な教室数を確保すること。
昨年4月から完全学校週五日制がスタートした。保護者から「学力問題への不安」や「子どもの居場所が無い」などの声があがっている。各学校の自主的で多様な教育を保障するとともに、関係各局とも連携し、週末の子どもを受け入れる地域環境の整備の拡充、児童館や学童保育、障害をもつ子どもの条件整備などを取組むこと。
「日の丸・君が代」が国旗国歌法として制定され学習指導要領にも組み込まれたが、憲法では「思想信条の自由・内心の自由」が保障されている。教育現場で子どもたちに強制、押し付けはやめること。また、各学校長、現場に対しての強制調査や管理指導はやめること。
子どもの権利条約や平和教育を基本にすえた教育行政、教育活動を行うこと。
皇国史観、侵略戦争美化の「新しい歴史教科書をつくる会」の策動は全国各地で強まり、愛媛県では「新しい歴史教科書をつくる会」作成の教科書(以下つくる会教科書)を現知事が賛美し、教育現場、保護者の反対を押し切って新設の中高一貫校で使用することを強行採決した。今、つくる会は全国でのつくる会教科書の採択率を上げることや新たに小学校教科書の変質、自習用教材の作成など反動的な動きを強めている。西宮市ではこのような動きに絶対に屈しないこと。また、教科書採択方法についてはこれまで通り現場の教員を中心にした民主的採択方法を堅持すること。
21世紀に入り、全国で「同和問題終結宣言」自治体が増え、西宮市でも同和施策がほぼ一般施策へと改善している中で、市教育委員会だけが事実上「同和教育推進」体制をつづけるのは大変問題である。子どもたちやPTAを使った同和教育の押し付けはやめること。また、人権教育といいながら同和問題一色の“西宮人権同和問題協議会”は即刻、廃止すること。
小学5年生の自然学校や中学2年生のトライやるウイークなど県が一方的に決めた施策
を全校一律にやっているが、賛否両論ある上いろいろな問題が出ていると聞いている。
学校ごとに子どもの状況や親の思いも踏まえて柔軟に取り組めるよう、一方的な押し付けや強制は絶対にやめること。
クラブ活動の各種競技大会派遣経費(交通費補助)の基準を見直し、補助額を増額するとともに特に北部の学校については“教育の機会均等”を基本に市内大会についても旅費を支給すること。
6、障害児教育について
文部科学省が2003年3月に「今後の特別支援教育のあり方について(最終報告)」を取りまとめ、基本的に障害児学級をなくし、特別支援教室として学習障害のLDなどの子どもたちに焦点をあて、支援をしていこうとすることや、地域の中で障害のある子ども一人一人に、生涯にわたる支援計画を作成して向き合おうとすることなど大事な観点がある。しかし、必要な財政保障もマンパワー等の裏付けなしに進めようとしていることなど問題点も多くある。学級定数は40人のままで、新たな人的加配もないまま、さらに、エレベーターなど学校のハード部分の改善をしないままでは、いくら地域の中で、一人一人の教育ニーズに応じた発達保障をといってみても、現場では困惑と混乱が避けられない。障害児教育にあたってこられた先生からの「これまで培ってきた障害児教育の成果を発展させるためにも、何よりマンパワーの拡充は不可欠」との声を真摯に受け止め、障害児教育に取り組むこと。
適正就学指導を充実させ、ニーズに応じた教育ができるようにすること。特に、わかば園通園児の幼稚園入園については、健康福祉局とも連携をよくとること。
さまざまな種別の障害児に対応できるよう、全校に必要な障害児学級を配置する
こと。
エレベーターの設置をはじめ、施設整備をはかること。
十分な教育が保障できるよう、人的配置を充実させること。
障害児学級はもちろん障害児が所属している普通学級に対して教員加配や介助員の配置を県に対して強く求めるとともに、当面市独自で実施すること。
市立西宮養護学校の介助員について一律子ども2人に介助員1人と基準を決めて配置しているが、充実した教育活動ができるよう現場、保護者などから要望があれば増員すること。
公立幼稚園全園で、障害児の受け入れを行なうこと。そのために必要なマンパワーの充実を行なうこと。
市立幼稚園2年保育の定員を増やし、入園希望者を抽選で振り分けることはやめ、全員受け入れること。また、要望の強い「3年保育、延長保育、子育て支援事業」等々を充実させ地域に開かれた幼稚園運営を基本にすえること。
私立幼稚園就園奨励助成制度における所得制限は撤廃すること。また、2子以下の子がやむをえず私学に入園したとき、第1子が卒園している場合でも「第2子」区分を摘要すること。
高校教育について
兵庫県教育委員会は、「県立高等学校教育改革第一次実施計画」に基づき、「小規模校の統廃合」、「複数志願制」の導入、「単位制」や「総合学科」の拡大など、総合選抜制をなし崩し的に解体していこうという姿勢を示している。
高校教育を子どもたちに保障するために以下のことを実施すること。
これまで続けてきた高校入試制度における“総合選抜制”を堅持すること。特に、高校が北部にないなど、適正配置されていないため、校区が居住地から遠くなることが大きな問題となっている。県教育委員会の責任を明確にして北部に高校を早急に設置できるよう最大限の努力をすること。
「県立高等学校教育改革第一次実施計画」は拒否をすること。
就学奨励金等各奨学金制度の「所得制限の引き上げ」「年度当初からの支給」を実施すること。また、申請手続きは保護者が直接行えるようにするなど、配慮すること。
2003年度から司書教諭の配置が義務付けられ、現状は小中学校64校中で56校(ただし12学級以下の6校は義務付けられていない)に非専任の司書教諭が配置されている。学校図書館専任の司書教諭を全校に配置すること。当面、臨時も含めて市の責任で専任司書を配置すること。また、各校の蔵書数を増やすこと。
保健室登校の子どもたちの増加や被虐待児の増加、また、心のケアを必要とする子どもたちの増加など、養護教諭の果たすべき役割はますます重要になっている。このことを踏まえて、大規模校へは養護教諭が複数配置されたが、全校に複数配置するとともに保健室の充実に取り組むこと。また、スクールカウンセラーも増員すること。
教師の過重負担をなくすための人的配置等について
年休や出張時の代替教員、プール指導時の補助員の確保、事務職員の増員などを早期に実施すること。
小規模校へは教育が保障できるよう十分な人的配置をすること。
労働安全衛生法にもとづき市として主体性を持って労働安全委員会を設置すること。
学校用務員については学校現場で担うべき仕事は多数あるにもかかわらず、正規職員として役割・任務を果たしていない者もいるなど教育現場、保護者からの批判が大きい。その原因は教育委員会が指導、監督責任を放棄しているためである。教育委員会の責任で管理監督を徹底すること。また批判の大きい用務員については、市長部局へ配置転換すること。
学校職員が持ち帰った生徒に関する個人情報の記録されたフロッピーディスクが盗まれるという事件がおこり、あらためて学校現場における個人情報保護が立ち遅れている実態が明らかとなった。直ちに次の対策をとること。
教育委員会として個人情報保護を徹底すること。学校園においては校長、園長が管理監督をすること。
個人情報に関する文書管理体制と事務処理の効率化、標準化など抜本的に見直すこと。事務処理について電算化と人的配置を早期に実施すること。特に、個人情報の学校園からの持ち出しは行わないこと。
この間、地域公共ネットワーク整備事業等、小中学校等にパソコンが整備された。しかし、それを指導する教員に対する研修が十分に行われていない。教員への研修をすすめるとともに、当面は、臨時で専門家を配置すること。
ヒートアイランド現象など近年の夏の暑さは異常となっており、大都市圏における学校普通教室への冷房装置を実施する自治体は増えている。全校の普通教室へのエアコンを早期に整備すること。同時に、今年度、国は補助金の予算化を実施しなかったが、市として強力に国に対して補助制度を求めること。また、災害時の避難場所となっている体育館へのエアコン整備も取組むこと。
「建築物の耐震改修の促進に関する法律」に基づく、公立学校の耐震診断は、2003年3月末で対象校舎95のうち、71について耐震診断が行われた。確実に2004年度中には終了すること。耐震診断の対象となっていない体育館等についても取組むこと。
同時に、耐震診断の結果に基づき、補強・改修を行うことが本来の目的であり、直ちに年次的に計画を定め、補強・改修を実施すること。
学校のトイレは、3K、4Kと言われていた時期と比べて改修や改善がすすんできている。しかし、「トイレは人権」という立場からはまだまだである。入り口のドアを取り付けるなど、外からトイレの中が見えないようにする、洋式便器を設置、増設するなど、子どもたちの人権を守るとともに、現代の生活様式に見合った改修・改善を早期に実施すること。
特に用海小学校の洋式トイレは旧式のためか、低学年児が利用しにくい。早急に改修すること。
学校施設の整備について
津門、用海、浜脇、夙川、船坂小学校の老朽校舎を早急に建替えること。老朽化のすすんでいる校舎等については改修をすすめること。また、各学校からの改修要望にはただちにこたえること。特に、浜甲子園中学校の玄関口の震災による段差を直ちに改修すること。
水はけの悪い真砂、浜甲子園中学校のグランドを早期に改修すること。
市立西宮養護学校の残る校舎の建て替えを早急に進めること。
県立知的障害養護学校を阪神間に建設するよう県に強く求めること。
全校にエレベーター設置をペースを早めて取り組むこと。特に緊急度、必要度の高い学校(真砂中学など)から設置すること。
池田小学校事件も踏まえて、学校、施設での安全対策として、学校各階各教室に“防犯ベル” “校内電話”等を現場の声も聞き早急に設置する。
学校給食の民間委託については、昨年3月の「学校給食検討委員会の提言」、それにもとづく「学校給食の基本方針」により、“民間に近い人件費”との制約はあるものの“直営自校方式堅持”の方向が出され、退けられた。しかし「効率的な運営」の方法は「正規調理員は退職後、嘱託調理員で補充する」としており、これは、安易な安上がり行政といえる。
子どもたちの健康と成長をまもり、教育の一環としての学校給食という立場からも次のことを実施すること。
将来的にも「直営自校方式」を堅持すること。
正規調理員を基本とした人員を確保すること。
「給食内容」「施設整備」について実施計画を策定すること。
「食物アレルギーの対応」については検討委員会の中でも深刻な状況が報告され多数の委員から「除去食を実施できないか」というような意見が出た。食物アレルギーを持つ子どもが増加していることを踏まえて早急にアレルギー除去食を実施すること。
「米飯給食」については自校炊飯ができるところから取り入れること。
「統一献立」については「単位ブロックは増やすが統一献立維持」「一括購入」については「適正価格で安定的購入可能なため維持」するとしている。しかし、近年発生している学校給食による大規模食中毒事件の大きな原因に「統一献立・一括購入」があることが明らかになっている。安価で管理が楽ということを理由にしているが、山南町が来春から学校給食の野菜を町内産に決めたように学校ごとの献立、野菜等、地域の生産者から可能な限り購入することは不可能ではない。可能なところから工夫して取り組むこと。
「給食費」については“光熱水費等の食材費以外の経費を含めるよう実施時期も含め研究する”とあるが、深刻な不況の中で大変な状況の家庭も増えていることや「給食は教育の一貫」であることからこれ以上の父母負担を増やすべきではないと考える。給食費の値上げはしないこと。
学校給食用の米、牛乳の補助制度復活を国に求めること。
公民館について
公民館は地域にとって最も身近な教育施設であり、多くの市民が利用する点からも、誰もが利用しやすい施設への改善が必要である。次のことを実施すること。
公民館使用団体である社会教育団体や登録グループの使用料を無料に戻すこと。
香枦園(夙川以西)地域、上ヶ原地域、甲陽園地域に公民館を新設すること。
老朽化した公民館を早急に改築すること。
学文公民館、上甲子園公民館については早急に建替えること。
今津、夙川公民館については、早急に建替えの方針を示すこと。
バリアフリー化、洋式トイレの増設をすすめること。
図書館について
司書正規職員は不足をしており、適正な配置がされていない。直ちに増員すること。
拠点図書館及び分室について祝日を含め毎日開館すること。また開館時間についても勤労者が利用できるよう午後9時までとすること。そのために必要な人員を確保すること。
蔵書数を大幅に増やすとともに、開架図書を増やすとともに、市民のニーズにあったジャンルを充実させること。
今後、全市的にもっときめ細かな配置が必要である。特に、要望のある津門・今津、甲陽園地域に設置すること。
段上分室の返却ポストは投入口から放り投げることになっているが、本の傷みが激しくなるうえに道徳的にも許されない。早急に滑り台を付けるなど改善すること。
スポーツ施設の整備について
震災で温水プールを閉鎖して以後も民間プールが相次いで廃止されている。市民の要求の強いプールを市の責任で整備すること。特に市民の要望の強い中央運動公園内に温水プールを再建するよう具体化すること。
陸上競技場を整備すること。
地区体育館を適正に設置すること。特に上ヶ原地域に早期に設置すること。
青年のスポーツ要求にこたえるようバスケットやスケートボードのできるよう公園等に整備すること。また、西宮スタジアム跡地については当面スポーツができるよう阪急電鉄に申し入れること。
グランドゴルフなど、高齢者のスポーツ活動が活発になっている。地区毎の大会など有料のグランドを利用する機会も多い。高齢者団体の使用料減免を早急に実施すること
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(c)日本共産党西宮市会議員団 2002-2006