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■都市局
西宮市は震災前の人口を大きく超え46万人になろうとしている。この背景には、震災後各種の規制を緩和し、大型マンションの開発を進めてきたことがある。その結果、学校や保育所、高齢者施設などの不足による市民生活の深刻化が進んでいることは重大である。さらに、阪急西宮北口地区の開発、とくに芸術文化センターが建設されている南西部では、土地利用についての決定遅れによるパチンコ店出店や、球場前線北の街区では本来できないはずの阪急電鉄(株)のマンション開発を追認する、およそ文化とは縁遠いまちづくりとなった。ここには、西宮市としての都市計画・まちづくりに関するビジョンの無さとリーダーシップの欠如があるといわなければならない。
文教住宅都市にふさわしい西宮市を築き、快適な市民生活を保障するために次のことに取り組むこと。
甲子園競輪場跡地開発に見られるような校区調整が必要となる大規模マンション等の開発は、地域のコミュニティまで壊すことになる。また、酒造会社など工場の撤退跡地に数100戸規模のマンション開発も続いて、人口増を招いている。市として的確な都市計画を確定し、市民の良好な生活環境を守ること。
阪急西宮北口スタジアム跡地については、阪急・兵庫県・西宮市の三者で協議することとなっているが、実態は住宅と商業施設の整備などと、土地所有者である阪急の計画が一方的に進められている。西宮市内にこれ以上の商業床は必要でなく、阪急の原型核は白紙撤回を求めること。また、西宮市の中心地のまちづくりとして、市として市民や議会の声をもとに主体性をもってかかわりを行ない、情報を広く公開し、利用計画が決まるまでの間、スポーツができる広場として、阪急の協力も得て市民に開放すること。
区画整理事業について
阪急西宮北口駅南地区土地区画整理事業
来年1月にはサティが撤退することになっている。芸文街区の一角であり跡地利用については、市としても整合性をもったものになるよう指導すること。
阪急西宮北口駅から、芸文センターやプレラホールに歩行者デッキを計画しているが、ムダな公共事業の典型である。計画を中止すること。
阪急西宮北口駅北東地区土地区画整理事業
仮換地指定に対する行政不服審査請求件数があと15件となっている。該当者に対しては、市有地の有効活用などで希望を優先するとともに、仮住居を希望しない権利者には直接移転も配慮しながら進めること。
精算金の徴収については権利者の要望を取り入れて進めること。
JR西宮駅南再開発ビル(フレンテ)の管理会社・西宮都市管理会社に対し市は2000年度から貸付を行なっているが、これ以上の市の持ち出しは絶対行なわないこと。特に、管理会社所有の駐車場床を新たに市が購入することなど行わないこと。また、管理会社の経営については当の企業が責任を持つのが当然であり、支援が必要であれば出資企業にも応分の負担を求めること。
西宮浜では大橋を渡らなければならないなど、特殊な地域環境がある。若い世代の入居者も多く既存の幼稚園、保育所はすでに満員、買い物施設など公共公益施設や商業施設が不足している。また、高齢者も多いまちとしてその実態に見合った施設を民間任せでなくまちづくりとして市が主体性を持って充実させること。
住都公団(当時)が西宮名塩ニュータウン開発にともない設置した、斜行エレベーターの市への引継ぎや、住宅も建っていない場所に名塩北公園を設置するなど、無責任なまちづくりが目にあまる。さらに、土地利用計画の変更として、小学校と中学校の用地ほかを、住宅用地に転換するとしているが、将来の人口計画が大きく変更する要素もあり、取り返しのつかない事態が懸念される。まちづくりを進めた都市再生機構の開発者責任を明確にし、土地利用計画の変更を中止するとともに、これ以上の安易な市負担を拒否すること。
生産緑地は、緑地の保全や災害時の避難場所等の役割を果たしている。都市部での生産緑地保全を営農家だけにまかせるのではなく、市としても都市政策の立場から、必要な手だてをとること。また、要望があれば追加指定をすること。
交通バリアフリー法に沿った駅改善については、阪急、阪神の高架駅でエレベーター、エスカレーターが未設置駅(阪急・阪神国道駅、阪神・甲子園駅)に早急に設置するよう引き続き電鉄会社に強く要求すること。またJR甲子園口駅にエレベーター、エスカレーターを設置するよう強力にJRに申し入れること。市の補助要綱では、エレベーター1期につき1億5000万円(市はこの6分の1)と上限を設定しているが、この上限額を撤廃しさまざまなケースに対応できるようにすること。
バス運行について以下のことを、関係会社に働きかけること。
主に武庫川堤防を通るJR甲子園口駅行き阪急バス路線の増便、および利用の広報を行うこと。
阪急西宮北口駅―中央病院―樋ノ口町―JR甲子園口駅のバス路線が運行されるようになったが、さらに増便すること。
阪急バス愛宕山路線の増便や仁川路線を新設すること。
北部地域のバス路線の新設、充実をはかること。
市民要望の強い南部地域から白水峡へのバス路線は、臨時運行されるようになった。さらに、定時運行を行なうこと。
地域巡回(コミュニティ)バスが全国的にも、阪神地域でも実施運行が広がっている。交通不便地域だけでなく、市内の公共施設や病院などを巡回し、市民生活をバックアップする移動手段としてのニーズにこたえ、また100円で乗れるよう福祉的観点からも市内5ループを目標に運行すること。
JR夙川駅新設により交通量の増大や騒音が懸念され、駐車・駐輪問題など周辺住民の不安の声が解消されていない。また、タクシーや乗用車の待合スペース等駅前広場の確保もなく事業が進められている。地域住民の意見をよく聞きJRにも応分の負担を求めて周辺環境対策を講じること。
住宅市街地総合整備事業の適用を受けて浜甲子園団地の建替え事業が行なわれている。
現居住者が安心して住み続けられるようさまざまな配慮を行うとともに、建替えによる余剰土地の活用については、景観や周辺環境に配慮するよう市としての指導を行うこと。
市営住宅について
空家住宅応募者が年々増加してきており、2002年6月に策定した「西宮市営住宅ストック総合活用計画」では、市民の要望にこたえられない。計画を前倒しにし、長田町用地での早期建設や、木造住宅用途廃止後の建替等早期に具体化すること。また、武庫川団地など(都市再生機構の賃貸住宅)や民間住宅を借り上げて、市営住宅として市民に提供すること。
空き家募集を随時行ない、住宅困窮者の要望に応えること。その際以前行なっていた「落選回数の多い者の優先」を復活させること。また、特定目的(障害者、老人、母子家庭等)の募集戸数を増やすこと。
ふすまや畳等の改修は、住宅によって改修期間の相違がある。期間の短いほうに早急に基準をそろえること。
高齢者や障害者に使いやすい住宅となるよう、エレベーターがない住宅に早急に設置すること。その際、入居者全員の合意形成を待つのではなく、バリアフリーの観点から市の主体性を発揮して積極的に進めること。
エレベーターの電気代、散水用の水道代などは公費負担とすること。
災害公営住宅などに設置した駐車場が余っている。近隣地域からの利用要請など調査し、有効活用をはかること。
不正入居者、住宅明渡し義務者に該当する高額所得者については、市が主体性を持って期限を切って明け渡しを迫るなど断固とした態度で対処すること。公務員で該当する者については早期に退去させること。万一、市職員で該当者がいる場合は公表すること。
市営住宅、店舗、駐車場の使用料滞納が非常に多い。所得状況などから生活保護等、他の制度につなげる努力を健康福祉局と連携して行なうこと。また、使用料滞納者の中に、収入申告をしておれば減免対象となり、支払える可能性のあるものも見受けられることから、市としても適正な指導を強化すること。悪質滞納者については厳正に対応し、訴訟等も臨機応変に活用すること。
特定優良賃貸住宅(西宮タイアップ住宅)については、補助額を増額して家賃を引き下げ、家賃アップ率についても抑制し入居者の負担を軽減すること。また制度の改善を国に申し入れること。
個人住宅あっせん融資については、新築2000万円、改築800万円に引き上げること。また、利率を2%以下にし、既融資の利率についても低金利を考慮して、引き下げるよう金融機関との調整を行なうこと。
比較的所得の低い新婚世帯など若年層を対象にした、民間賃貸住宅家賃補助制度を創設し、住宅政策の面から少子化対策を行なうこと。
都市局所管の住宅改造助成制度については、介護保険認定者を対象とした制度もあって非常にわかりにくい。バリアフリーのための住宅改造を行う市民が、よりわかりやすく利用しやすいように制度の改善を行うとともに、施工事業者の事務の簡素化も進めること。
震災から10年になるが、住宅の耐震化が進んでいない。現在、耐震診断に補助制度はあるが、補強が必要なときに何の補助も無いことがその原因のひとつとなっている。個人住宅の耐震化を促進する意味から、市として「耐震推進住宅リフォーム制度」を創設し支援すること。
区分所有法に基づく分譲マンションが市内に多く建設されている。管理問題や、修繕の長期計画策定などの相談窓口を市として設け、居住者に対するサービスを行うこと。
開発指導について
「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」(以下開発条例という)にもとづき、地域住民の立場で市はこの趣旨を事業主に周知徹底すること。
開発条例では「開発区域に接する道路は6m(中心点より3メートル後退)に拡幅すること」と規定しているが、開発地に接続する道路で開発区域外の道路についてはまったく規制がなく、4メートル以上の道路であれば開発を認めている。これはまちづくりという観点からも矛盾している。その結果、工事用車両はもとより、消防車両(はしご車等)の通行も制限され、近隣住民に多大な被害がおよんでくる。地域外の道路についても最低6メートルを確保するよう行政指導を強めるとともに、それができない場合は開発を認めないこと。
地球温暖化対策の一環として、建物の屋上や壁面の緑化を推進すること。また、雨水の活用では、マンション敷地や戸建て住宅敷地内に雨水貯留槽設置を促進するよう指導すること。
過剰なマンション建設を規制し、良好な住環境を保全するためにも開発条例、同施行規則で次の諸点を改正すること。
10戸以上のマンションを建設(第1種中高層住居専用地域)する場合には、その敷地は1戸あたり50平方メートル以上要すること。
建築基準法で容積率の対象外となっているマンションの居住室以外の廊下・階段室・駐車場などについても学校・事務所と同等の容積率内に収めるよう規定すること。
急傾斜地における地下マンションについては、緑地保全や地域環境保全のために、政令による条例化については、許可条件は第一地盤面までとすること。
一定規模以上の開発については、公園、教育施設などの公共施設整備のための土地や協力金の提供を求めること。
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(c)日本共産党西宮市会議員団 2002-2006