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■健康福祉局
介護保険について
政府は現在、介護保険について施行後5年を目途にした制度全般についての検討と見直し作業を進めている。年内にも法案要綱がまとめられ、来年通常国会で審議、2006年度から実施とのスケジュールだが、厚労省社会保障審議会介護保険部会が今年7月にまとめた意見では、(1)介護度が軽い人(要介護認定の要支援、要介護1)に支給している介護サービスのうち訪問介護や通所介護など一定部分を廃止し、新たに「新・予防給付」を開始する、(2)福祉用具の支給対象を制限し、給付率も見直す、(3)施設入所者から家賃や光熱費(いわゆるホテルコスト)食費を徴収、などがあげられている。また障害者支援費制度と統合し、被保険者を20歳からに引き下げる、利用料の2〜3割負担への引き上げなども検討されているところである。
これら政府の見直しは、介護保険が本来の目的どおり「家族介護から社会が支える制度へ」「在宅で安心できる介護へ」「サービスが選択できる制度へ」になっているかの検証ではなく、もっぱら利用者の増加で膨らんだ給付費を「制度の持続可能性を高める」といった言い方でおさえこもうというのがそのねらいとなっている。
このように重大な局面を迎えている介護保険について、以下要望する。
介護保険の見直しにあたっては、社会保障にふさわしい介護が実現できる真の改革となるよう、政府に求めること。特に軽度要介護者のサービス制限や、利用料負担増、障害者支援費制度との統合には反対の意思を表すこと。
保険料、利用料の免除・軽減制度を国の制度として創設するよう求めること。
現在5段階に区分されている保険料は低所得者ほどその負担が重いため保険者が独自に6段階としているところもある。市としても検討し、できるだけ保険料負担の緩和を考えること。
保険料の市独自減免を住民税非課税の高齢者(第3段階)まで拡大すること。
64歳以下の2号被保険者の低所得者についても保険料減免制度をつくるよう関係機関に働きかけること。
利用料は介護サービス費用の一割負担が原則となっており、必要性より支払える範囲内でのサービスしか利用できない現実がある。国の特別対策(保険実施前のホームヘルプサービス利用者に6%)や、市の独自減免、法人による減免などがあるが、不十分である。保険料第2段階までの高齢者に、すべてのサービスについて利用料減免制度をつくること。
介護サービス事業者が増加するにつれ、不満や苦情なども多くなっている。市では立ち入り調査や指導等をおこなっているが、いっそう適切なサービス提供への指導・監督に努めること。
特別養護老人ホームの待機者は1200人をこえている。当面、特養建設計画を前倒しして、計画の早期達成をめざすこと。整備法人に対する市の建設補助を打ち切ったが、土地の無償提供も含め復活させること。
施設入所を希望する高齢者や家族がこのようにたくさん存在する背景には在宅介護がさまざまな要因で困難であるという現実がある。特養整備だけでは問題は解決しない。地域での民家を利用した小規模施設や夜間・緊急対応など多様なサービス提供ができるよう補助金制度創設など条件を整えること。
市立軽費老人ホーム「雅楽荘」は狭い居室に2人入居が半数を占めているが、現定数を維持した上で人権、プライバシーの尊重の観点から、すべて個室とすること。
敬老祝い金は、もとどおり70歳以上1万円に戻すこと。
高齢者に対する外出支援策の一つである交通助成制度は、もとの現金支給に戻すこと。
福祉タクシー制度は障害者や高齢者の外出支援策として、助成額の増額や行き先の拡大など、制度の改善をはかること。
車椅子バンクは介護保険の対象とならない人への貸与としているが、介護保険認定者でも一時的な使用などの場合には利用できるよう柔軟に運用すること。
障害者福祉支援費制度がスタートし1年以上が経過した。障害が多様化し、また人数も確実に増えているなか、以下の項目にとりくむこと。
政府は支援費制度に想定以上の費用がかかったとして介護保険見直しの中で障害者施策を介護保険と統合するとの考えも示しているが、高齢者と障害者では介護の質や中身が違うと障害者団体から強い反対意見が出されている。先にも述べたが、市として政府に対し反対の立場を示すとともに、支援費制度に必要な予算措置を求めること。
障害児に対する支援費制度サービスメニューは限定されている。その拡大も国に求めること。
行政の責任で計画的にサービス基盤整備に取り組むこと。特に、地域で自立した生活を送るための生活の場・活動の場(生活ホーム、通所施設)、ショートステイを増やすこと。
障害者への情報提供、相談体制などにとりくみ、サービスの充実をはかること。
長引く不況の中で、生活保護の役割はますます重要となっている。ところが政府は生活保護世帯の保護費の引き下げや「老齢加算」「母子加算」の廃止などを強行している。2005年度はさらに保護給付水準を切り下げようとしているが、生存権を脅かす重大な攻撃である。
生活保護法では生活に困っている人は誰でも生活保護を申請でき、条件にあっていれば、平等に受けることができることを明記している。この規定や憲法25条の具体化として、適正な事務をおこなうこと。また政府の給付削減攻撃を許さずむしろ保護基準の引き上げを国に求めること。
ホームレスに対する保護適用ではNPO法人が運営する救護施設入所によることが多いが、そこからの自立、転居についても敷金等を支給すること。また県が2004年度に三田市に建設するとした救護施設の具体化を早急に進めるよう求めること。
テント生活者に対してもそこを居住地と認定し、保護を適用すること。
保護相談や申請、適用が急増している。面接相談員を増員し、相談者の立場にたった親身な相談をおこなうこと。
援護資金の貸付も増加の一途である。貸付限度額の増額とともに、保証人、民生委員の証明は求めないこと。
また、県社協の生活福祉資金の貸し付けについて、条件緩和と手続きの簡素化を求めること。
母子生活支援施設は1971年建設以来32年が経過、老朽化し居住性も悪い。DVへの対応等でその役割も増大していることから、早急に建てかえること。
幼児、児童虐待が急増し、その対応に追いつかない実態がある。子どもを守る第一線の中心的機関である児童相談所の対応の遅れや踏み込みが足りなかったために幼い命が犠牲となる例もあとを絶たない。適切に即応できるよう、こどもセンター(児童相談所)の増設、専門職員の増員を、国、県に求めること。
また、市では子育て支援グループを中心に体制をとり対応を進めているが、なおいっそう関係機関との連携を強め、保育士、学校教職員等への研修を行い、犠牲者を出さないようにすること。
名塩・生瀬地域に公的総合病院の建設を具体化すること。
保健所について
北部地域に保健所を設置し、ひきつづき保健福祉センターの増設を進めること。
BSE汚染牛の新たな発覚や、市内ホテルでの相次ぐ食中毒発生など、食の安全に関しての保健所の役割はいっそう重要である。市民の信頼を得られる迅速な対応、情報公開に努めること。BSE対策の牛の全頭調査は引き続き行うこと。
40歳、50歳の節目健診では、歯周疾患検診もあわせて行えるようにすること。
現在保健福祉センター等で行っている1歳半健診については、地域の公立保育所でも行えるようにし、その後の子育て支援に結びつけること。
地域福祉計画策定にあたっての基本視点の1つに、地域の特性を尊重するまちづくりとして「日常生活圏域を地域福祉の基盤エリアとして、それぞれの実情や特色を考慮して地域の課題解決に取り組む」としているが、素案には圏域の範囲指定や特徴などの記載が一切ない。また課題についての数値目標も掲げていない。これらを具体化してこそ「地域福祉計画」だと考える。
具体的な基盤エリアを設定し、それぞれについての実情把握を行い、数値を含めた目標を掲げること。
少子化対策は国の将来にとって重要な課題である。次世代育成基本法では2005年には自治体として行動計画を策定することが決められている。少子化は子育て支援策の不足だけが原因ではなく、男女共の「働かされ方」や、経済的支援の不足などもあげられる。調査、計画策定にあたっては、原因の分析にたった、全庁的、総合的なとりくみとすること。
保育所について
依然として待機児童解消は大きな課題である。保育所を新設すること。また、いったん減員している公立保育所の定員を元に戻すこと。
保育料を引き下げるとともに、減免制度を拡充すること。
延長保育を、保育の質を落とさずすべての保育所で午後7時までおこなうこと。
障害児保育もすべての保育所で実施すること。
病時・病後保育が1ヶ所実施されたが、拡大すること。
産休あけ保育を公立保育所で実施すること。
虐待や生活荒廃の影響を受けているこどもへの対応は特別の配慮が必要とされる。専門知識を持った職員を配置するとともに、保育士への研修を強めること。
施設の計画的な改修をおこなうこと。特に保育室へのエアコン設置を急ぐこと。
給食は業者委託はやめ、全食自園調理とすること。
定員の弾力化で給食数が増加し、またアレルギー除去食への対応などで給食調理員の過重負担がある。給食内容をいっそう充実させるため調理員の増員をはかること。
公立保育所の民営化は今後絶対におこなわないこと。
西宮の保育行政は、障害児保育など特別保育の実施や待機児童解消でも民間保育所に負うところが大きい。どの子も等しく健やかに保育されるよう、公私間の格差を是正するため、当面以下の項目にとりくむこと。
1、2歳児の保育士配置基準を公立と同様に5対1とすること。
特別保育の加配職員への補助についてはこれまでどおり正規職員とすること。
パート職員への補助単価を公立並みに引き上げること。
家庭保育所について
家庭保育所は、公立保育所でおこなっていない産休あけ保育を担い、市の保育行政のなかで重要な役割を果たしている。市は運営助成費や保育補助者助成費の年間通じての満額支給や、水光熱費の全額支給などをおこない、家庭保育所の運営改善に責任を果たすこと。
保育所待機児童解消のために、たけのこ家庭保育所など条件のある保育所で定員増をおこなうこと。
現在保護者負担になっている給食や延長保育に助成をおこなうこと。
公私立保育所に兄弟を預けている家庭にも第2子以降の減免制度を適用すること。
家庭保育所卒園児を希望の保育所に入所させること。
地域での子育て支援を進めるため展開されている、子育て総合センターの各種事業が好評である。全市に1カ所では不足しているので、増やすこと。
学童保育(育成センター)について
不況が長引き、幾多の負担増を強いられている市民に対し、育成料の値上げはおこなわないこと。
春・夏・冬休みの開所時間は午前8時からとすること。
入所児童増加に伴う定員増(施設増改築)に近年積極的にとりくまれているが、新年度では待機が予測される浜脇、上甲子園、上ヶ原南について計画を具体化し、とりくむこと。
障害児をもつ共働き家庭にとって、4年生から安心して預ける所がない問題は深刻である。4年生以上の障害児を育成センターで受け入れるために課題を整理するとしているが、受け入れ可能なところから先行的に行うこと。
スロープや身障者用トイレなど施設のバリアフリー化を急ぐこと。
高学年学童を自主運営している父母団体に補助制度をつくること。
総合福祉センターは市の福祉活動において重要な役割を果たしているが、洋式トイレの不足など、施設設備の面では遅れが目立つ。利用者の声もきいて改善にとりくむこと。
近年、障害児は増加し、その障害も多様化、複合化している。わかば園では本来の肢体不自由児の療育だけでなく精神発達障害児の療育も引き受け、市の障害児療育の中心的役割を果たしており、今後もますます重要である。
現在医師は1名の配置だが、精神科医など専門医を増員すること。
施設は増築を繰り返しつぎはぎだらけで、老朽化も激しく、また大変手狭となっている。わかば園をふくめた総合療育センターの整備は次期総合計画の課題としているが、計画を前倒しし、改築すること。
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(c)日本共産党西宮市会議員団 2002-2006