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■健康福祉局
介護保険について
介護保険実施から5年がたち、利用者が増える一方で、高すぎる保険料・利用料、深刻な施設不足と待機者の急増、介護労働者の労働条件の悪化など、さまざまな問題が生じている。
このような状況で成立した改定介護保険法は、(1)軽度と認定された人に対し、家事援助など介護サービスの利用を制限する、(2)施設の居住費・食費を全額自己負担とする、(3)栄養食事相談などの福祉事業を「地域支援事業」として介護保険に組み込み、国の財政負担を減らす、など、国庫支出のいっそうの削減を目的に、負担増と給付減を国民に押し付ける大改悪である。2005年10月1日からすでに、特別養護老人ホームや老人保健施設、デイサービスセンター等では、自己負担増が実施されており、一日も早く、サービスの切捨てや負担増から高齢者をまもるための取り組みが必要である。
現在、西宮市では第3期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定中だが、議会に報告された内容は、施設整備の面が縮小されているなど問題があり、高齢者の実態にあった計画が求められる。
必要な介護が受けられるよう以下の項目を実施すること。
国庫負担を25%から30%に引き上げ、保険料、利用料の免除・軽減制度を創設するよう国に求めること。
1号被保険者(65歳以上)の次期介護保険料は現行保険料から値上げしないこと。より所得に応じた負担とするよう、介護保険料の段階区分を増やすこと。市独自の減免制度を拡充すること。
2号被保険者(40歳から64歳)の低所得者についても保険料減免制度をつくるよう関係機関に働きかけること。
市独自の利用料減免制度をつくること。
2005年10月1日から、特別養護老人ホームなどで居住費、食費が、デイサービスなどで食費が、全額自己負担となった。これによって、重い負担が課せられる。市として、実態調査を直ちに行い、低所得者への減免制度を創設すること。
特別養護老人ホームの待機者は1696人(05年6月末現在)となっている。当面、特養建設計画を前倒しして、計画の早期達成をめざすとともに、整備計画を抜本的に変更し、待機者を早期になくすこと。そのためにも、整備法人に対する市の建設補助を打ち切ったが、土地の無償提供も含め復活させること。
新予防給付では、利用者に本人の意に反して筋力トレーニングを強制したり、食事内容に介入するようなことをせず、また状態の改善につながるホームヘルプサービスなどの利用について制限を加えないよう、指導すること。
新たに設置される「地域包括支援センター」について、保健師等必要な人員を確保すること。
施設入所を希望する高齢者や家族がこのようにたくさん存在する背景には在宅介護がさまざまな要因で困難であるという現実がある。特養整備だけでは問題は解決しない。地域での民家を利用した小規模施設や夜間・緊急対応など多様なサービス提供ができるよう補助金制度創設など条件を整えること。
介護サービス事業者に対する立ち入り調査や指導について市の権限が4月から強化される。いっそう適切なサービス提供へ指導・監督に努めること。
市立軽費老人ホーム「雅楽荘」は、老朽化しており、居室面積や二人部屋が多数あることなど改善すべきである。早期に移転改築すること。
第3次行財政改善実施計画により、養護老人ホーム入所法外扶助費は縮小、寿園法外扶助費は廃止の計画だが、現行どおり継続すること。
敬老祝い金は、第1次「行革」によって現行制度は77歳や88歳などの節目の年齢で支給に改悪され、第3次行財政改善実施計画では、06年度廃止の計画である。しかし、多くの高齢者が楽しみにしており、財政危機を理由に廃止するべきではない。もとの70歳以上全員に支給するとともに、金額は1万円に拡充すること。
また、敬老会のおみやげの廃止など、敬老事業の見直しについてはせず、現行どおり継続すること。
高齢者交通助成制度は、2002年度に口座振込み(5000円)から公共機関利用の際、その半額を助成する割引購入証(1000円券5枚)に改悪されたため、交付枚数の約80%の利用にとどまっている。制度の趣旨からも、利用促進のために現金支給に戻すこと。
福祉タクシー制度は障害者や高齢者の外出支援策として、助成額の増額や行き先の拡大など、制度の改善をはかること。
障害者福祉支援費制度が導入されて2年しか経過していないにもかかわらず、政府は障害者自立支援法案の成立をねらっている。これは、かねてから介護保険制度との統合をはかる考えとともに、障害者施策への予算の削減がおおもとにあり、これまでの「応能負担」を「応益負担」の障害者福祉に導入しようとするものである。いま、必要なことは、障害者関係予算を大幅に増額し、障害者の人権保障とノーマライゼーションの実現をめざして、施策の抜本的な充実を行うことである。
そのために以下の項目を実施すること。
国に対して、障害者自立支援法(案)の撤回を求めるとともに、総合的な障害者福祉法の制定を求めること。
引き続き、行政の責任で計画的にサービス基盤整備に取り組むこと。地域で自立した生活を送るための生活の場・活動の場である生活ホーム、通所施設、ショートステイを増設すること。特に、知的障害者通所授産所施設の整備は、国・県に要望し、必要な施設を確保すること。
第3次行財政改善実施計画で対象となっている重度心身障害者(児)介護手当、心身障害者(児)法外日常用具等購入補助の見直しはやめること。
障害者への情報提供、相談体制などにとりくみ、サービスの充実をはかること。
生活保護について
長引く不況の中で、生活保護の役割はますます重要となっている。ところが政府は生活保護世帯の保護費の引き下げや「老齢加算」「母子加算」の廃止などを強行し、2006年度は国の負担を現在の4分の3から3分の2に引き下げようとしている。国の責任の後退は、国民の生存権が侵害される事態に拍車をかけるものである。生活保護を充実させるために、以下の項目を実施すること。
生活保護法では生活に困っている人は誰でも生活保護を申請でき、条件にあっていれば、平等に受けることができることを明記している。この規定や憲法25条の具体化として、より適正な事務をおこなうこと。また政府の補助額の削減や給付削減攻撃を許さずむしろ保護基準の引き上げを国に求めること。
第3次行財政実施計画により、夏季冬季見舞金、上下水道基本料金減免などの廃止が計画されている。しかし、もともと生活費は最低限の給付であり、継続すること。
ホームレスに対する保護適用ではNPO法人が運営する救護施設入所によることが多く、その促進をはかること。また県による三田市での救護施設計画は中止となったが、早急に建設予定地を決め進めるよう求めること。
テント生活者に対しては、居住地確保をはかるやり方だけでなく、そこを居住地と認定し、保護の適用も実施すること。
保護相談や申請、適用が急増している。面接相談員を増員し、相談者の立場にたった親身な相談をおこなうこと。また、ケースワーカーについても増員し、きめ細かな援助をすること。なお、これらの職員は社会福祉士とすること。
援護資金の貸付は、生活実態と見合うよう、貸付限度額の増額とともに、保証人、民生委員の証明は求めないこと。また、県社協の生活福祉資金の貸し付けについて、条件緩和、手続きの簡素化、貸付までの期間短縮を求めること。
母子生活支援施設は、老朽化し、現在の住環境から見ても、改修等では解決できない。DVへの対応等での役割も増大しており、早急に建てかえること。
幼児、児童虐待が急増し、その対応に追いつかない実態がある。子どもを守る第一線の中心的機関である児童相談所の対応の遅れや踏み込みが足りなかったために幼い命が犠牲となる例もあとを絶たない。適切に即応できるよう、こどもセンター(児童相談所)の増設、専門職員の増員を、国、県に求めること。また、市では子育て支援グループを中心に体制をとり対応を進めているが、なおいっそう関係機関との連携を強め、保育士、学校教職員等への研修を行い、犠牲者を出さないようにすること。
名塩・生瀬地域に総合病院の設置を具体化すること。
保健所について
BSE、鳥インフルエンザ、SARSなど、相次いで新たな問題が発生しており、保健所の役割はいっそう重要である。市民の信頼を得られる迅速な対応、情報公開に努めること。BSE対策の牛の全頭調査は引き続き行うこと。
仮称山口地区センターの建設計画により、2007年度開設で山口保健福祉センターの整備が計画されている。そのさい、保健所もあわせて開設すること。
節目総合健診(40歳、50歳、60歳時)では、歯周疾患検診もあわせて行えるようにすること
現在保健福祉センター等で行っている1歳半健診については、地域の公立保育所でも行えるようにし、その後の子育て支援に結びつけること。
少子化対策は国の将来にとって重要な課題である。西宮市でも次世代育成支援対策推進法に基づく「西宮市次世代育成支援行動計画」が策定された。しかし、重点施策は子育て支援策の推進が中心で、男女共の「働かされ方」や経済的支援の不足などの点では、十分に取り入れられていない。真に少子化対策を推進するために、これらのことを国、県、事業者に働きかけるとともに、全庁的な取り組みを強めること。
保育所について
「保育サービスのあり方」を見直すとして、「保育サービス課題検討委員会」で検討、その結果を受け、西宮市社会保障審議会に諮問された。その内容は、(1)保育所運営主体の規制緩和について (2)保育所における保育料のあり方について (3)公立・民間保育所の役割分担と民間移管について (4)民間保育所助成金のあり方、である。6月7日に答申が提出され、公立・民間の役割分担については、それぞれの特徴を生かした保育所づくりが示されたものの、株式会社の参入、公立保育所の民営化、保育料に応益負担を導入すること、民間保育所への助成金の減額などが盛り込まれた。この答申を受けて市は方針を決定するとしているが、すでに新規募集園には株式会社の参入を認め、05年度新設の民間保育所は助成金を減額しており、事実上前倒しですすめている。以下の項目を実施すること。
待機児童は、4月1日94人から10月1日現在では232人となっている。新年度は新設3園を予定している。全ての子どもたちが保育所に入所できるよう、引き続き保育所を新設すること。また、いったん減員している公立保育所の定員を元に戻すこと。
保育料を国基準なみに引き上げようとしているが、現行の保育料でも高すぎる。引き下げること。特に母子・父子家庭世帯を除く市民税非課税世帯(B階層)から保育料を徴収しないこと。また定率減税や配偶者特別控除の廃止がねらわれており、それらも視野に入れて、減免制度を拡充すること。
これ以上の民営化はしないこと。また、株式会社の参入は認めないこと。
延長保育を、保育の質を落とさずすべての保育所で午後7時までおこなうこと。
障害児保育もすべての保育所で実施すること。
病後児保育は04年度に実施予定だったにもかかわらず、いまだにできていない。委託料を引き上げるなど、実効性ある条件整備を行い、一刻も早く実施すること。また、病児保育についても実施すること。
産休明け保育を公立保育所で実施すること。
虐待や生活荒廃の影響を受けているこどもへの対応は特別の配慮が必要とされる。専門知識を持った職員を配置するとともに、保育士への研修を強めること。
施設の計画的な改修をおこなうこと。特に保育室へのエアコン設置を急ぐこと。
給食は業者委託はやめ、全食自園調理とすること。
定員の弾力化で給食数が増加し、またアレルギー除去食への対応などで給食調理員の過重負担がある。給食内容をいっそう充実させるため調理員の増員をはかること。
公私間格差の是正をはかるために、民間保育所について、(1)2歳児の保育士配置基準を公立と同様に5対1とすること、(2)特別保育の加配職員への補助についてはこれまでどおり正規職員とすること、(3)パート職員への補助単価を公立並みに引き上げること、(4)補助金の減額はおこなわないこと、の4点を実施すること。
家庭保育所について
家庭保育所は、公立保育所でおこなっていない産休あけ保育を担い、市の保育行政のなかで重要な役割を果たしている。市は運営助成費や保育補助者助成費の年間通じての満額支給や、水光熱費の全額支給などをおこない、家庭保育所の運営改善に責任を果たすこと。
保育所待機児童解消のために、たけのこ家庭保育所など条件のある保育所で定員増をおこなうこと。
直ちに、現在保護者負担になっている給食や延長保育に助成をおこなうこと。
直ちに、公私立保育所に兄姉を預けている家庭にも第2子以降の減免制度を適用すること。
家庭保育所卒園児を希望の保育所に入所させること。
東京の保育ルームで保育士が一人だったために重大な事故が起き、西宮市では運営・助成要綱で、1名の補助員をつけるようになっている。しかし、実効されていない状況もある。指導を強めること。
無認可保育所は県が所管しているが、市としても指導、援助を強めること。
地域での子育て支援を進めるため展開されている、子育て総合センターの各種事業が好評である。全市に1カ所では不足しているので、増やすこと。
学童保育(児童育成センター)について
新年度から指定管理者制度が導入され、社会福祉協議会が2年間、指定管理者として指名される。しかし、その後どうなるのか全く示されていない。保育の面からも、非公募とすること。
育成料の値上げはおこなわないこと。
春・夏・冬休みおよび休校日の開所時間は午前8時から午後6時とすること。
入所児童増加に伴う定員増(施設増改築)に近年積極的にとりくまれているが、現在待機のある甲陽園、神原、生瀬、新年度では待機が予測される香櫨園、上甲子園、用海、について計画を具体化し、とりくむこと。
次世代育成支援行動計画からも、4年生以上の障害児を新年度より直ちに受け入れること。
スロープや身障者用トイレなど施設のバリアフリー化を急ぐこと。
高学年学童を自主運営している父母団体に補助制度をつくること。
市立養護学校に、学童保育所を設置すること。
総合福祉センターは市の福祉活動において重要な役割を果たしているが、洋式トイレの不足など、施設設備の面では遅れが目立つ。引き続き、利用者の声もきいて改善にとりくむこと。
近年、障害児は増加し、その障害も多様化、複合化している。わかば園では本来の肢体不自由児の療育だけでなく精神発達障害児の療育も引き受け、市の障害児療育の中心的役割を果たしており、今後もますます重要である。
現在医師は1名、非常勤医師1名を配置しているが、なお不足している。専門医の増員を行うこと。
施設は増築を繰り返し、つぎはぎだらけで、老朽化も激しく、また大変手狭となっており、年次的な補修では対応できない。わかば園をふくめた総合療育センターの整備は次期総合計画の課題としているが、計画を前倒しし、改築すること。
第3次行財政改善実施計画により原爆被爆者扶助費は廃止、特定疾病患者見舞金は減額の計画だが、財政危機を理由に見直しはすべきではない。現行で継続すること。
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(c)日本共産党西宮市会議員団 2002-2006